「今日における違いは、クラウドがインフラやプラットフォーム、サービスといったさまざまな次元で理解されているという点だ。アプリケーションやデータをサーバからパブリッククラウドへと移行する動きは継続する。重要なのは、CIOが今後新たなハードウェアを購入する妥当な理由を考えるのが困難だという点であり、そこを出発点とすべきだ」(Marks氏)
クラウドの採用プロセスには、探求と変革、開拓という3つの異なる段階がある。米ZDNetは、それぞれ異なる段階にある企業のITリーダー3人に話を聞いた。これら3つの段階の存在により、クラウド主導の変革が依然として発展途上にあり、賢明なITリーダーはそういったなか、自社の業務コンテキストを評価し、将来発生する要件に柔軟に対応できるオンデマンドのソリューションを提供しようとしているという事実が導き出せる。
第1段階:探求
英国の病院財団St Helens & Knowsley Teaching Hospitals NHS Trustの情報担当ディレクターChristine Walters氏は、自らの組織ではクラウド上で完結できていない作業が数多くあると述べている。同氏の組織は財務上やデータ上のさまざまな制約を抱えているという。とは言うものの、2018年はWalters氏やその同僚が要求に取り組み始める年となるはずだ。
Walters氏は「われわれの意図をより一般化して述べると、共有の患者ケア記録を作成し、その情報をクラウド上でホストすることだ」と述べるとともに、「また、バックアップやストレージの戦略も検討する必要がある。クラウドがわれわれのIT戦略を補完するのは明らかだ。その目標は、適切な場所でクラウドを利用するところにある」と語っている。
Walters氏によると、まもなくMicrosoftとの探求作業が始まるという。Walters氏は、同財団の保持している情報の機密性ゆえにその行動は注意深くあるべきだと認識している。例えば、データの保存場所については英保健省の厳格なガバナンス要求がある。同氏は2018年を転換点ではなく開始点だと捉えている。
同氏は「クラウドは未来であり、適用できる場所は確かにある。しかし、この種のオンラインサービスは当面の間、社内システムによって補完される必要があると私は考えている」と述べるとともに、「クラウドへのデータのバックアップは比較的低コストだが、データの復元を考えるとそのコストは高価なものとなっていく。つまり、バランスが必要になる。われわれは探求の途中であるため、今後の数年間はハイブリッドアプローチを採ることになると考えている」と述べている。
第2段階:変革
2015年10月に英国の大手百貨店House of FraserのCIOになったJulian Burnett氏は、同社のEコマース事業のプラットフォームを再構築するという6億ポンドの計画を引き継いだ。そして同氏は、「Microsoft Azure」プラットフォーム上で一連のパッケージ化されたテクノロジを実現した。
同氏は「Azureの採用は、私の着任前に決定されていたものの、正しい意思決定であったことが証明された」と述べるとともに、「われわれは、Azureのリーダーシッププログラムに加わった。これはMicrosoftのクラウドプラットフォームが持つ大きなメリットを享受する組織からなる中核グループだ。参加はわれわれにとってプラスとなっている」と続けている。