ベンダーセッションでは、シスコシステムズ、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、Dell EMC(デル)の3社が登壇。10年後のネットワークの姿をどう描いているか、それぞれの技術と製品、サービスでネットワークをどう変革していこうとしているかを解説した。
シスコシステムズのコンサルティング システムズ エンジニアである進藤資訓氏は、クラウド時代の企業間ネットワークのあり方について、シスコのビジョンや実際に導入が進んでいるSD-WANソリューションを紹介した。
HPEのAruba事業統括本部エンタープライズ・システムズ・エンジニアリング部部長の池田豊氏は、古いネットワークの仕様から柔軟性や俊敏性の高いモビリティ中心の次世代ネットワークに移行するためのポイントを5つの観点から解説した。
デルのネットワーク事業部シニアシステムズエンジニア佐々木亮氏は、Dell EMCが推進するオープンネットワーキングソリューションによって、柔軟性、俊敏性の高いネットワークをどう構築できるかを紹介した。
IoTで成功するにはIoTならではのネットワーク技術と企画力が重要
特別講演には、ウフル執行役員の杉山恒司氏が登壇。「オープンイノベーションにより実現するIoT」と題し、同社が取り組むさまざまなIoTのユースケースと事例を紹介した。
ウフルはIoTを中心にコンサルティングやクラウド開発を行うシステム会社だ。スワヒリ語で「自由」を表す社名が示すように、自由な発想と技術力の高さが特徴だ。特にIoT分野では、上流から下流までを一気通貫で手がける数少ない企業として知られる。
杉山 恒司氏
株式会社ウフル
執行役員
「ビジネスコンサルからPoCの設計、PoC実施、導入支援、サービス開発、マーケティング、クリエイティブ制作までを提供しています。さまざまな業種・業態の企業に対して、PoC、サービスを提供してきた実績があります」(杉山氏)
IoT支援事例としては例えば、三菱重工の風力発電施設のモニタリングや、サトーHDのプリンタ遠隔管理、NECソリューションイノベータのIoTワーキングシステム、村田製作所の仮想センサープラットフォーム、総務省のビッグデータを活用した路面管理実証実験などがある。
IoTサービスの構築支援だけでなく、サービスを支えるための要素技術の開発や普及にも積極的に取り組む。ネットワーク分野では、IoTで活用される低電力広域無線(LoRa)のLoRaWANについて、各社と協力して実証実験やIoTハッカソンを行い、実用化を推進。長野県伊那市ではLoRaWAN共用基盤によるスマートタウン構築などを支援した。
IoTの人材・ビジネス面での課題を解決するためのサービス開発も手がける。IoTではしばしばITシステム開発(クラウド)と組み込み開発(エッジ)にある開発手法のギャップが課題になる。そこで、両者をつなぎ蓄積された開発ノウハウを生かすために「enebular」という独自サービスを開発し、提供している。
「IoTではこれまでとは異なる新しいビジネスモデルを考える企画力が必要です。個でビジネスを行う時代は終わりました。複数の企業との協業モデルが現実的であり、すべてをコーディネートできるアドバイザーも求められます」と杉山氏。2016年6月には54組織でIoTパートナーコミュニティを設立し、オープンイノベーションを通じたビジネス創出を目指している。
最後に佐々木氏は「従来のITビジネスと同じ思考でIoTビジネスを進めようとして、立ち行かなる企業が続出しています。IoTならではのネットワーク環境を整備し、IoTならではの発想で取り組むことが大切です」とアドバイスし、講演を締めくくった。