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調査

ITの業務委託では大半の企業がセキュリティを重視せず--IPA調査

ZDNet Japan Staff

2018-03-26 15:26

 情報処理推進機構(IPA)は3月26日、「ITサプライチェーンの業務委託におけるセキュリティインシデント及びマネジメントに関する調査」の報告書を発表した。ITに関する業務委託では、委託元企業が委託先に対するセキュリティをあまり重視していないことが分かった。

 調査は、ITシステムやサービスを提供する620社とユーザー499社に対するアンケートや、52件のセキュリティインシデントに関する文献、有識者を含むインタビューを2017年10月~2018年2月に行ったもの。IPAでは「ITサプライチェーン」を、ITシステムやサービスに関する業務を外部委託し、その委託が連鎖する形態と定義している。

 それによると、業務を委託している企業(委託元)が委託先で過去3年間にセキュリティインシデントを経験した割合は15.2%、再委託先以降では2.4%だった。業務を受託している側(委託先)では21.3%、再委託先以降では10.3%だった。委託元が委託先でのインシデントを把握していないケースは、委託先に対しては10.0%、再委託先の場合では24.4%に上り、委託元が業務委託先でのインシデントを十分に把握できていない可能性がある。


 委託元と委託先が経験したインシデントの内容では、トップはいずれも「システム・サービスの障害・遅延・停止」(委託元74.4%、委託先52.4%)だった。以降は、委託元側では「情報漏えい・暴露」(16.7%)、「データのき損・消失」(14.1%)、委託先側では「その他」(30.2%)、「情報漏えい・暴露」(21.8%)などとなっている。


 業務委託で扱う情報資産やリスクに基づく情報セキュリティ対策の判断では、「社内ルールをもとに判断」する割合が委託元では51.5%、委託先では79.2%に上り、業務を受託する側(委託先)の方が、セキュリティ脅威やリスクへの意識が高い様子がうかがえるという。

 また、委託元が委託先に対して実施すべき具体的な情報セキュリティ対策を仕様書などで明記しているという回答は29.2%にとどまる。業種別では、情報通信が53.3%で唯一過半数を超えたが、2番目に高い金融・保険でも43.8%と、総じて低い。


 セキュリティ課題としては、委託元では「社内に十分な知見・スキルを持った人材がいない」(63.1%)、委託先では「様々な種類、レベルの受託業務に対応した情報セキュリティ対策を実施することが難しい」(64.5%)がトップに挙げられた。委託元側では人材不足から委託先に対して自社のセキュリティ要件などを適切に提示できず、委託先側では委託元の不明瞭なセキュリティ要件への対応に苦慮している実態が浮かび上がった。

 こうした傾向は業務委託に関する契約にも見られ、委託元および委託先とも最大の課題に「情報セキュリティ上の責任範囲(責任分界点)が分からない」が挙げられた(委託元54.5%、委託先44.7%)。2番目に多いのは、「実施すべき具体的な情報セキュリティ対策が明示されていない」(委託元47.3%、委託先36.0%)だった。IPAによる回答者へのインタビューでは、契約時にセキュリティ関連の詳細要件や責任範囲が定まらず、契約締結後にすり合わせを行う実態が聞かれたという。

 委託元が委託先を選ぶ際の条件の優先度は、「業務の品質・価格・納期」(92.8%)がトップ、これに「過去の発注実績、過去業務の評価」(82.2%)、「委託先の経営・財務状況」(57.5%)が続く。「情報セキュリティ対策の実施状況や認証の取得状況」(50.1%)は4番目だった。課題には、「社内に十分な知見・スキルを持った人材がいない」(58.1%)や「委託先の情報セキュリティ対策レベルが異なり、評価・選定が難しい」(57.3%)が挙がった。

 なお、委託元および委託先とも約3割は「セキュリティ対策のコストが相手側に理解されない」と回答し、コストに関して双方の課題認識が同程度だった。

 調査結果についてIPAは、委託元が情報セキュリティを主導するのが本来の姿としつつ、委託元と委託先に共通する情報セキュリティ対策に関する指標の確立や、契約段階における責任範囲と負担の明確化といった取り組みが求められると解説している。

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