音声アナリティクスで顧客の感情を予測、コールセンター支援--さらなる応用も

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-04-21 08:00

 カスタマーサービスの窓口にかかってくる電話は、感情的なものになる場合がある。その理由の1つが、人間は、特に音声だけのやりとりの場合、相手の感情の動きを表す微妙な手がかりを把握するのが得意ではないということだ。

 また、人間は多くの場合、そのつもりがなくても不注意に感情のシグナルを発してしまっており、これがコミュニケーションの行き違いや、不快なやりとりにつながってしまう。

 MITからスピンオフした企業Cogitoは、音声アナリティクス技術を使って、カスタマーサービスのオペレーターが顧客の感情を把握するのを支援している。Cogitoの製品に使われているテクノロジは、声のトーンやパターンを分析して、顧客の感情の状態を予測するものだ。この技術は、退役軍人のPTSDやうつ病の兆候を特定するためにも利用されている。

 コンピュータやロボットに共感をシミュレートさせるために、同じ技術を使えるのではないかと想像することもできる。

 Cogitoが開発したアナリティクス技術は、実際に起こった摩擦から生まれた。

 2001年、MIT Media Labの教授Alex "Sandy" Pentland氏は、Media Lab Asiaの立ち上げのためにインドにいた。Pentland氏はMIT Newsに対して、「われわれのミーティングの多くはひどいもので、特に取締役会はひどかった」と語っている。

 同氏は、問題は意見の伝え方にあり、使われた言葉だけでなく、話し方のトーンや言葉の強調の仕方などが重要な役割を果たしていると考えた。

 Pentland氏はその経験から、人の話し方を定量化する方法の研究にのめり込んだ。人の話し方は、話の内容と矛盾していることも珍しくない。同氏は、言語とは関係のない、話し方や声のトーン、ボディランゲージに表れる微妙な手がかりを理解しようとした。

 MITの研究者らは、この取り組みを助けるために、「ソシオメーター」と呼ばれるデバイスを開発している。これは、会話中の話し方のパターンや体の動きを記録するセンサが組み込まれた名前バッジだ。

 研究者らは、就職面接などのコミュニケーションの結果を、実際に話されている内容を聞かずに、驚くほど高い精度で予想することに成功した。これは、行動科学の研究者が以前から主張していたように、あらゆるやりとりには、言葉とは独立して、豊富な情報を持つコミュニケーションのレイヤが存在することを意味している。

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