NTTデータ、イングランド銀行とXBRLの実証実験--保守費用を約7割削減

NO BUDGET

2018-04-06 10:58

 NTTデータは4月3日、イングランド銀行(Bank of England:BoE)とのXBRL(eXtensible Business Reporting Language)に関する実証実験の結果を発表した。

 これによると、NTTデータが開発したXBRL DWHソリューション(NEXTERA XBRL)を利用することでシステム改修をせずに多様なデータの取込・分析ができることが確認された。また、イングランド銀行はウェブブラウザを使って経年データを直感的に抽出・可視化できることを確認、さらに、今後各種システム改修コストの67%以上の削減が見込まれることも確認している。

 XBRLは、適切な財務情報の記述目的として開発されたデータ形式。監督当局・金融機関・一般企業の間で主に財務情報の報告で採用される。日本では金融庁の電子開示システム「EDINET」や、東京証券取引所の適時開示情報伝達システム「TDnet」などに利用され、環境省の環境情報開示基盤整備事業でも活用されている。

 現在、世界60カ国以上、100以上の金融監督当局が、金融機関から財務やリスクなどの報告を受けるのにXBRL形式を活用しているが、規制データ量の増加に伴い、当局側での分析の効率性やコストの課題が膨らんでいる。NTTデータによると、2013年1月9日にバーゼル銀行監督委員会が定めたBCBS239(実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則)への対応コストだけでも全世界で年間15〜20億ドルに達する。

 コスト負担の主な要因となっているのが、監督当局が収集データを格納・分析する情報システムを都度改修しなくてはいけないこと。一般にXBRL形式のデータは、監督当局がタクソノミ(taxonomy:分類)と呼ばれる報告事項(定義)を設定し、報告する金融機関や企業側がインスタンスと呼ばれる報告データを作成する。その際、監督当局が収集する情報を変更する場合は、このタクソノミも変更する必要があり、それに応じて収集するインスタンスの形式も変更しなくてはならない。

監督当局による金融機関への監督に伴うXBRLデータの流れ
監督当局による金融機関への監督に伴うXBRLデータの流れ(出典:NTTデータ)

 イングランド銀行は、この課題を解決するため、共同で実証実験を行う一般企業を定期的に募集していた。今回の実証実験では、2017年9月から2018年2月までNTTデータ、NTTデータUK、およびドイツのスタートアップ企業Reportixが共同で参加した。

 今回の実証で活用されたNEXTERA XBRLは、XBRLデータの解釈・変換機能としてReportixの「CellStore」を、NoSQLデータベースとして米MarkLogicの「MarkLogic Server」をそれぞれ活用している。


NEXTERA XBRL導入による課題解決(同)

 NEXTERA XBRLは、タクソノミとインスタンスの両方を解釈し、細分化してNoSQLデータベースに格納することで、タクソノミの違いや変更に関わらずシステム改修せずにデータを格納する柔軟性と高速にデータ抽出する検索性を実現している。

 実験では、イングランド銀行から提供された複数種類のタクソノミに基づくXBRLデータを、NEXTERA XBRLを用いてシステムの改修なしで格納し、経年でのデータ比較の可否や検索速度、操作性、他システムへの連携容易性などを評価した。

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