最新技術を活用したデジタルトランスフォーメーションは、攻めのビジネスに打って出る企業にとって必須の取り組みとなりつつある。さらに、地方の製造業者にとっては、その取り組みに「もう一つの狙い」もあるようだ。
デジタル変革で海運・海洋産業の働き方改革を推進
日本マイクロソフトとJRCSが先ごろ、複合現実(Mixed Reality:MR)や人工知能(AI)などの最新技術を活用したデジタルトランスフォーメーションにより、海運・海洋産業の働き方改革を推進するプロジェクト「JRCS Digital Innovation LAB」を開始したと発表した。
会見に臨むJRCSの近藤髙一郎社長(右)と日本マイクロソフトの平野拓也社長
JRCSは山口県下関市に本社と工場を置き、船舶用配電機器や制御・計装機器の設計、製造、販売、アフターサービスを手掛ける中堅製造業者である。
その同社が日本マイクロソフトとの連携により、グローバルで展開する海運・海洋産業において、船員の訓練や資格証明などの基準に関する国際条約である「STCW条約」に準拠したリモートトレーニングプラットフォームなどの世界標準となるデジタル製品やサービスを開発し、展開していく構えだ。
具体的には、MRを実現するヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」やクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」のAIサービスなどを活用した海洋事業者向け遠隔トレーニング、遠隔メンテナンスソリューションの実用化に向けて検証を進めていくほか、将来的な船舶の自動航行までを見据えた新しいデジタルプラットフォームの確立に取り組むとしている。
両社による発表のさらに詳しい内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは今回の取り組みにおけるJRCSの攻めのビジネス展開に加えて「もう一つの狙い」に注目したい。