「働く人の“環境と感情”をフィットさせる仕組みを作り出し、企業の人材管理の課題をサポートしたい」――。こう語るのはハウズワークの代表取締役を務める佐藤寛次郎氏だ。
同社は、人材コンディション把握ツールの開発・販売と、社外の実践型研修プログラムの提供を行うHR(Human Resources)テックベンチャー。2018年3月9日に設立され、5月8日から営業を始めている。社名の由来は「How's Work?(仕事の調子はどう?)」からきている。「社内外で活動する働く人の仕事や環境に対する感情や、共に働く仲間からの感謝や尊敬の気持ちをテクノロジで可視化し、企業と働く人のハートフル(良好)な関係が広がる社会作りに取り組んでいく」(佐藤氏)
ハウズワーク 代表取締役 佐藤寛次郎氏
同社が提供するサービスは大きく2つ。「コンディション把握ツール」と「実践型研修プログラム」である。社内外で働く従業員のコンディションや感情の変化を定量的かつ360度視点で可視化するほか、特定の専門スキルを有するIT企業内で実践的に学べる研修プログラムを用意する。
コンディション把握ツールは、継続的かつ定量的な感情データを把握することで、退職リスクの早期発見やエンゲージメント向上、人材開発にもつなげられるという。常駐や派遣、出向など、社外で働く従業員の業務状況や心理状態を把握することで、フェアな評価や、従業員の気持ちに寄り添った対話が可能になるとしている。
SaaS型のツールであり、管理画面では各従業員への業務のアサイン状況やプロジェクトに対する感情や作業の負荷、役割に対する本人の気持ちなどを把握できる仕組みとなっている。従業員は一定のタイミングで振り返り作業を行うことで、メンバーや担当業務、将来の希望などに対する気持ちを伝えられるようになっている。
コンディション把握ツールの画面イメージ(出典:ハウズワーク)
担当している業務やプロジェクトに対する負荷や感情を定量的を収集したり、メンバー間の相性や信頼度・貢献度を定期的に把握したりしながら、従業員の仕事内容や人間関係などに問題がないかどうかを効率的に管理できる。
「働き方の多様化によって、従業員一人ひとりの仕事の負荷や感情などのコンディションを把握することが難しくなってきた。従業員の感情変化やキャリア志向を理解することなく、組織のエンゲージメント向上や強い組織作りは困難だろう」(佐藤氏)
実践型研修プログラムは、特定領域で高度なノウハウを持つ企業に人材を送り出して、その企業内で実践的に技術を習得できるサービス。実践研修で身に付けたスキルを社内に持ち帰って実務に生かすだけでなく、研修先企業との人的交流による新たなネットワークやビジネスチャンスの獲得にも役立つとしている。
コンディション把握ツールは現在開発中であり、今夏の提供開始を目指している。グループウェアやプロジェクト管理、人事評価といった外部ツールとの連携や、従業員データを取り込むための方法も用意する。ユーザー単位での月額課金を予定している。