博報堂DYホールディングスは5月25日、「データ・エクスチェンジ・プラットフォーム設立準備室」を設置したと発表した。企業・団体が有する多様な生活者データや社会データをより広く安全に活用されることを目指す。
同社によると、政府が策定した科学技術基本計画の「Society 5.0」や経済産業省の「Connected Industries」では、企業や団体が有する多様なデータの連携促進が提唱されている。複数のデータホルダーの異なるデータを連携、活用することで、サービスやインフラの利便性の向上、新たなサービスの開発などにつながる可能性があると注目が集まっている。
一方で、実際にデータをマーケティングに利用するには、個人情報の取り扱いやプライバシーの保護など、コンプライアンスへの万全な対応と配慮を求められる。そのため、企業間でのデータ連携はあまり進んでいないのが現状だという。
同社によると、博報堂DYグループでは個人データを非個人情報に加工した上で統合するデータ活用技術「k-統計化&データフュージョン」を開発し、特許を取得。この特許技術により、データ活用時に直面する個人情報の取扱いという課題が解決され、より広く安全にデータを活用できるとする。そこで今回、企業・団体の多様なニーズに応じてデータを統合、活用することを可能にする「データ・エクスチェンジ・プラットフォーム」の構築を目指し、設立準備室を設置することとなった。
データホルダー企業・団体はプラットフォームに参画することで、データを活用した新たなビジネスチャンスの創出が期待できるとしている。一方、データを活用する企業・団体にとっては、これまで利用することができなかった外部データを用いてマーケティングやサービス開発などができる可能性が拡がるという。
博報堂DYホールディングスでは、データを安全に流通・利活用できる社会を目指して産業技術総合研究所と協業・連携を進めており、「人工知能技術コンソーシアム」に参画している。同コンソーシアムは、ビッグデータ時代における人工知能(AI)技術・機械学習を活用したデータ活用に関心の高い複数の企業が集まり、共創的価値の創出を目指している。
同コンソーシアムのデータプラットフォームワーキンググループでは、産業技術総合研究所との技術研究のほか、同コンソーシアムを通じて業種を超えたさまざまな企業や団体とビジネスにおける活用や社会課題の解決に向けた実証実験を行うなど、社会実装に向けた取り組みを進めている。
「データ・エクスチェンジ・プラットフォーム設立準備室」では、多様なデータホルダー企業・団体とのデータ連携の可能性を追及し、安全なデータ運用基盤の構築を進める。さらに、博報堂DYグループ全体でデータ活用を推進していくという。