Oktaが米国時間6月12日に発表した研究結果によると、不正なソフトウェアを「Mac」から撃退するための重要なツールが欺かれるおそれがあるという。
Oktaの研究者らが、Macコンピュータのファイルをスキャンする複数のホワイトリストサービスを調べたところ、Appleによって署名されたように偽装された不正なコードを検知できないことが分かったという。
OktaのエンジニアであるJosh Pitts氏は、「衝撃的なのは、不正なコードがApple自身によって署名されたように偽装できることだ」と述べている。
これらのツールの狙いは、正規のものであることが明白なファイルを承認することで、フォレンジックサイバーセキュリティ専門家やコンピュータに詳しいユーザーに安心感をもたらすことだ。これは重要なことである。Appleのコンピュータを攻撃するために設計された不正なソフトウェアは、「Windows」コンピュータを狙うものより少ないとはいえ、Macを標的とするマルウェアは現実に存在するからだ。
これらのツールは、ChronicleやCarbon Black、F-Secure、Objective Development、Objective-Seeを含むサイバーセキュリティ企業だけでなく、FacebookやGoogle、Yelpといった大手テクノロジ企業も提供している。Oktaのテストでは、それらのツールは署名を偽装した不正なファイルを検知できなかった。Oktaによると、それらのツールの開発者による、コード署名APIに関する解釈に原因があるという。
Oktaは、本物のマルウェアがこれらの脆弱性を悪用してMacに侵入した事例は確認していない。そして、Carbon BlackとObjective Development以外の全ての関係企業は米CNETに対し、Oktaの研究者らから知らせを受けた後、既にこの問題に対処したと述べた。しかし、研究者らによると、Oktaがテストしていないほかのツールにも同様の脆弱性が含まれる可能性があるため、同社はソフトウェアメーカーが自社のツールを修正するのを支援するガイダンスを提供しているという。
Oktaの研究結果を受けて、AppleはMac向けホワイトリストツールの構築方法をソフトウェア開発者に説明するドキュメンテーションの改訂に取り組んでいることを明らかにした。
オープンソースのホワイト/ブラックリスティングツール「Santa」を提供しているGoogleは、4月に修正をリリース済みだと述べた。ホワイトリスティング関連ツール「OSXCollector」を開発するYelpの広報担当者は、Appleの署名の有無に基づいてファイルをホワイトリストに入れる同ツールの機能を無効にしたと述べた。
この広報担当者はさらに「Yelpのデータやユーザーがこの脆弱性によってリスクに晒されたことはない」としつつも、同社はこの不具合を公表してOSXCollectorのユーザーに注意を促すとした。
「VirusTotal」の開発元であるChronicleは、不具合を既に修正したと回答。「XFENCE(Little Flocker)」を提供するF-Secureも、同社ツールを既にアップデートして問題に対処したと述べた。
Facebookは同社の「Osquery」も修正済みで、アップデートはダウンロード提供されているとコメントした。
「Little Snitch」を提供するObjective Developmentはコメントの依頼に応じなかった。「Cb Response」の開発元であるCarbon Blackはこの件に関するコメントを控えた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。