海外コメンタリー

2019年のデジタル変革はどうなる?(後編)--テクノロジ視点でみるトレンド

Dion Hinchcliffe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 編集部

2018-10-24 06:30

 「2019年のデジタル変革はどうなる?(前編)--ビジネス視点でみるトレンド」に続き、後編をお届けする。

2019年のデジタル変革に関するテクノロジのトレンド

エンタープライズデータの戦略的組織化が進む。一般的な企業では、データ環境に一貫性がなく、分裂していたり、重複があったり、サイロ化していたりする。これは多くの取り組みで大きな障害になっており、一種の技術的な負債だと言ってもいいかもしれない。筆者は以前から、今後スピードを上げていくためには、十分に準備のための時間を取り、将来的に競争を戦い抜いていけるだけの強固なデータの基礎を構築する必要があると主張してきた。部門の中に閉じていたデータの所有権を緩和し、顧客体験を改善するために、どこからでもエンタープライズデータを活用できるようにしたNordstromなどのデジタル変革が成功していることが、この主張を裏付けている。マスタデータ管理をはじめとするエンタープライズ規模の試みが、過剰で無意味なものになりがちなのは確かだが、今では、企業全体でオープンなマイクロサービスを提供するといったアプローチを用いることで、かつてないほど容易に、デジタル化の取り組み推進の基礎となる信頼性が高く安全なデータ基盤を段階的に構築できるようになっている。筆者の考えでは、現時点ではこれがもっとも有効な長期戦略だ。この傾向は2019年には今よりもかなり大きなトレンドになるだろう。

技術的な負債の削減に対する優先順位が上昇し、そのための投資が増える。近年はIT予算が増加傾向にあるために目に付きにくいが、多くの企業では、意図は正しかったが方向性を誤ったレガシーシステムの間に合わせ的なパッチワークや、更新されてこなかったシステム、その場しのぎの解決策といった技術的な袋小路が、技術的な負債として積み重なり、デジタル変革の障害になっている。こういったバランスシートに載っていない負債は、CIOがデジタル変革を進めていく上で最大の障害の1つになっていると言っても過言ではない。デジタル変革を成功に導くには、この負債の本当の規模を正しく評価して理解し、CEOや取締役会がその返済を始める必要がある。

デジタル変革

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