IDC Japanは11月28日、国内データセンター(DC)に設置される人工知能(AI)システムの数の予測を発表した。この結果は、GPUなどのアクセラレーターを搭載したAI向けの高性能サーバのうち、データセンターに設置されるものをサーバラックの本数で推計したもの。これによると、2018年末時点の国内DCに設置されているAIシステムは3141ラックになる。さらに、2022年末時点には3.6倍の1万1179ラックになると予測する。
GoogleやAmazon Web Services(AWS)が提供するクラウド型AIサービスの利用拡大を受け、商用DCにおける設置が増える見込みである。同時に、製造業やサービス業などの企業で実際のビジネスデータを利用したAIシステムの活用が進み、企業内DCに設置するケースも増加すると見ている。これは、顧客情報など機密性の高いデータをクラウドで処理することに抵抗感を抱く企業があるためだとIDC Japanは指摘する。
国内DC内に設置されるAIシステム数の予測、サーバラック本数ベース(出典:IDC Japan)
※商用DCと企業内DCの合計
AIシステムでは、学習フェーズの処理における消費電力と発熱量が大きくなる傾向がある。国内DCに設置されるAIシステムの消費電力は、2018年に国内DC消費電力全体の1.3%であるが、2022年には4.8%を占めるものと見ている。なお、ここで言う消費電力とは定格消費電力を指し、実際に使った電力量ではないとしている。
国内で新設されているDCの1拠点当たり電力キャパシティは増加傾向にある。AIシステムの設置拡大に対応できるような設備仕様になりつつあるが、今後は冷却システムの見直しが必要になる。その理由として、従来の空調設備では能力が不足し、冷却に必要な電力コストも過大になる可能性があることをIDC Japanは挙げている。