Windows 7のEOSまで1年--MS、端末とクラウドのオールインワンサービス提供へ

藤代格 (編集部)

2019-01-17 07:15

 日本マイクロソフト(MS、港区)は1月15日、2020年1月14日にサポートが終了(End Of Support:EOS)するサーバーOS「Windows Server 2008」とその後継「Windows Server 2008 R2」、クライアントOS「Windows 7」の移行状況と新たな移行支援策を発表した。

 MM総研(港区)の調査をもとにしたMSの推計では、2019年1月には48万台のWindows Server 2008搭載サーバーが稼働。Windows 7搭載PCは法人で1600万台、一般家庭で1100万台の稼働と捉えているという。

 OSやアプリケーションへの更新プログラム提供がなくなるEOS後は、新たな脅威に対するセキュリティの脆弱性などが増加。特に2020年に様々な国際イベントの開催を予定する日本は、標的とするサイバー攻撃が増加する恐れがあると説明。最新環境への早期移行、支援をパートナー企業と連携して取り組むとしている。

EOS概要イメージ(出典:MS)
EOS概要イメージ(出典:MS)

 サーバーとクライアントのクラウド環境への移行を促進するMSは、新たなサーバーOSの移行支援策として「Azure Data Box」と「Azure File Sync」の日本での提供を発表。2019年3月までに開始するという。

米国などで展開するData Boxで使用するデバイス(出典:MS)
米国などで展開するData Boxで使用するデバイス(出典:MS)

 Data Boxは、大容量データを専用デバイスに格納してAzureのデータセンターに配送し、データを高速にアップロードするサービスとそのデバイスの名称。ファイルサーバーや業務アプリケーションにある大容量データをネットワークを介さずAzureに迅速に移行可能で、ネットワーク経由でクラウドサービスに移行する場合の転送コストや時間を解消できるとしている。

 現在は米国やヨーロッパなどの一部のリージョンで提供。100TBのData Boxのほか、8TBのSSDを活用し、最大5台、40TBのパックで提供できる「Data Box Disk」、1PBのデータ移行を意図して設計された「Data Box Heavy」を展開している。

 File Syncは、オンプレミスのファイルサーバーとAzure上のファイルストレージを同期するサービス。Azure上のファイルを主とし、オンプレミスのファイルサーバーをローカルのキャッシュとして使用できる。オンプレミスの使い勝手のままファイルをAzure上に同期でき、クラウドとの専用線接続が難しいような中小企業でもクラウドを体感できるとしている。

 楽天インサイト(世田谷区)の調査では、従業員1000人以上の企業のうち95%がWindows 10への移行に向けた取り組みを開始しているという。一方、中堅中小企業でのWindows 7のEOS時期の認知は63%に留まり、まだ半数近くが移行に取り組んでいないとしている。

 Office 365などのクラウドサービスの利用にも地域差があるという。東京以外の中堅中小企業の利用率は東京の約半分に留まるとしている。

 MSではとくに中堅中小企業のユーザーにおける移行を促進すべく、Windows 10デバイスとクラウドサービスをオールインワンの月額課金モデルとして提供する「Device as a Service(DaaS) + Microsoft 365」を発表。世界に先駆けての日本での提供になるという。

 DaaS + Microsoft 365は、最新のデバイスと、企業向けOS「Windows 10 Enterprise」を基盤に「Office 365」「Enterprise Mobility + Security」などをパッケージングした「Microsoft 365」を一元的に月額利用で提供するサービス。

 経営の効率化と従業員の生産性向上を実現し、働き方改革に必要な“いつでも”“どこでも”“安全”な環境を提供するという。

 PCの運用管理や移行の手間を削減するとともに、最新の脅威に耐え得るセキュリティ環境を提供。IT担当者の運用負担も軽減し、本来のIT戦略に一層時間を割けるとしている。オリックス・レンテック、大塚商会、パシフィックネット、横河レンタリース、富士通、VAIOの6社から順次提供していく。

提供パートナーと予定サービス(出典:MS)
提供パートナーと予定サービス(出典:MS)

 また、2018年11~12月にMSが5都市(札幌、広島、福岡、大阪、名古屋)で開催した「クラウド活用による経営力強化セミナー」を、2019年2~3月に未開催の7都市(金沢、高松、那覇、熊本、仙台、郡山、新潟)で開催。各地で地元のメディアと連携しつつ、EOSに関する情報のほか、サイバーセキュリティ対策や働き方改革を実現するためのIT活用方法を中堅中小企業に向けて解説するとしている。

セミナー実施日程一覧(出典:MS)
セミナー実施日程一覧(出典:MS)

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