世界経済フォーラムは、サイバー攻撃や、その種の攻撃による重要インフラの機能停止は現代の世界が抱えるもっとも大きなリスクの1つだと警告を発した。
世界経済フォーラムの2019年版「グローバルリスク報告書」では、発生の可能性が高いグローバルリスクのトップ5に、大規模なサイバー攻撃やデータの大量漏えいを挙げた。世界経済フォーラムは、ビジネス、政治、学術の世界のリーダーが連携し、グローバルなアジェンダを形成することを目指す国際機関だ。この年次報告書は例年、保険仲介とリスクマネジメントの企業であるMarshの協力で作成されており、今回が14回目の公開となっている。
前回の2018年版では「サイバー攻撃」と「データの不正利用または窃盗」が大きく取り上げられ、それぞれ発生の可能性が高いグローバルリスクの3番目と4番目に挙げられていた。これよりも上位に挙げられたのは、「異常気象」と「自然災害」だけだった。一方2019年版では、大規模な「データの不正利用または窃盗」と「サイバー攻撃」がそれぞれ発生の可能性が高いグローバルリスクの4番目と5番目にランクインした。今年は、2位に新たに「気候変動の緩和や適応への失敗」が食い込み、「自然災害」は今回もサイバー攻撃や情報漏えいよりも上位の3位だった。
しかしこれは、サイバー攻撃のリスクが減っていることを意味しているわけではない。サイバー攻撃や情報漏えいの事例はこの1年間絶え間なく続いており、調査の回答者の大半は、サイバー攻撃が2019年中に大きな問題になると予想している。回答者の82%は金銭や情報の窃盗が発生するサイバー攻撃のリスクが増大すると考えており、80%は業務の中断につながるサイバー攻撃のリスクが増大すると答えている。
報告書では特に、2018年の7月に明らかになった、国家後援のハッカーが米国の公益企業の制御室にアクセスした事例を取り上げ、サイバー攻撃が重要インフラに与えるリスクを強調した。
今回の報告書では、「重要な技術インフラの潜在的な脆弱性が、国家安全保障上の重大な懸念事項になっている」と警告している。またリスクの相互連関性のランキングでは、「サイバー攻撃」と「重要情報インフラの故障」の組み合わせが、「異常気象」と「気候変動の緩和や適応の失敗」の組み合わせに次ぐ2番目に挙げられている。