だが、現場からは「好きなタイミングで実行したい」といった声が多く、いまだAttended Robotが中心だという。一連のロボットは「UiPath Orchestrator」でリモートで監視している。
ロボット導入当初は、本番環境でしか起こりえないような端末起因のトラブルやシステムとの相性問題が多発した。それまで同様の業務に携わっていた現場は、「なら手作業で」とロボットに対する不信感が募りかねないため、ロボット人事部はエラーが発生すると自らアクションを起こして、フォローやロボットの改修に取り組むという。

電通 ビジネスプロセスマネジメント局 COE推進室 推進1部 間瀬芽久美氏
間瀬氏は、この能動的な取り組みが「ロボットを正しく動作させ、チューニング機会を増やすことで安定する。これがロボットの定着にもつながる」と語る。電通ではロボットに社員IDを発行していおり、「つまずきながら、場数を踏んで成長していく若手社員のようなもの」(間瀬氏)とロボットの立ち位置を表現した。
さらにロボット人事部とは別の開発チームを設けており、一定のルールに沿った標準化を設けている。たとえばエラー発生時のスクリーンショットをロボット人事部へ自動送信し、エラーが多発するアクションについては最初からリトライ処理を加えるなど、ロボット人事部と開発チームの間では相互的な情報交換に努めているという。
エラー発生率を抑止するため、社内の情報システム部門がロボットのリリース時期を把握し、社内システムとロボットのリリースタイミングをすり合わせるといった努力も進めてきた。これらの能動的な取り組みについて間瀬氏は「攻めの保守・運用を行わないとRPAの定着は難しい」と語る。
電通デジタルの阿部氏は「(RPAは)ユーザーのデジタルトランスフォーメーションを実現する伴走者だ」と表現。同社単独で実現するには情報システム部門へ過大な投資が必要となり、グループ全体を管轄するロボット人事部を設けたことで、各グループ企業の負担は大きく軽減した。「RPAも定着し、知見も蓄積してきた。今後はグループ外にも知見を共有したい」(阿部氏)とし、コミュニティー全体でRPAの浸透を推進させる姿勢を見せた。