クラウドネイティブデータベースと呼ばれる場合もあれば、サーバレスデータベースと呼ばれる場合もあるが、ともかく新たな種類のデータベースが注目され始めている。これはグローバルな規模で自動的に規模が拡張されるデータベースで、これを使えばもはや設定や管理、レプリケーションなどに悩む必要はなく、クラウド上にインスタンスを作成すればそれで済んでしまう。
ただ、データは自然にクラウドに引き寄せられることが多いとは言え、誰もがすべてのデータをクラウドに移したいと考えているわけでもないし、必ずしもすべてを移せるわけでもない。このため、最近のデータベースには、ワークロードをオンプレミスと多数のクラウド間の両方でシームレスに扱えることが期待されるようになっている。
また、(今となっては昔からあるように思えるジレンマだが)SQLか、NoSQLかという問題もある。NoSQLは、従来のリレーショナルデータベースの設計とは異なる考え方でスケーラビリティのメリットを獲得したが、ユーザーが求めているのはSQLを置き換えることではない場合もある。
では、SQLと、クラウドネイティブ性と、マルチクラウド対応と、ハイブリッドクラウド対応をすべて兼ね備えたデータベースは存在するのだろうか。
マルチクラウドとハイブリッドクラウドを扱えるSQLデータベース
当然ながら、クラウドベンダーが提供するクラウドネイティブデータベースサービスがいくつか存在する。そのいくつかはSQLにも対応しており、これには「Azure Cosmos DB」や「Google Spanner」「AWS Aurora」が含まれる。もちろん、これらはどれもマルチクラウドには対応していない。
マルチクラウドデータベースもいくつかは存在し、例えば「DataStax Enterprise」や「MongoDB」がこれに当たる。これらのデータベースは、この強みにさらにサーバレスの機能を追加して顧客を集めている。こうした製品に共通する特徴は、オープンソースであることだ。ただしこれらのデータベースは、SQLに対応していない。
では、クラウドネイティブで、マルチクラウド、ハイブリッドクラウド、SQLに対応しており、オープンソースのデータベースは存在するのだろうか?実際、いくつかは存在する。その中でも目立った存在が「CockroachDB」だ。
その名前の由来は、回復力の強さ、しぶとさにある。ゴキブリ(cockroach)のしぶとさは読者もよくご存じだろう。オープンソースのCockroachDBを開発しているCockroach Labsは、2015年に元Google社員のSpencer Kimball氏、Peter Mattis氏、Ben Darnell氏によって設立された。3人はGoogle時代に「Bigtable」を使っており、その後継データベースであるSpannerも熟知している。その後3人は、Spanner以上のことができる何かを作り始めた。