成果の上がるRPAのアプローチとは--アビームの最新調査から読み解く

藤本和彦 (編集部)

2019-03-19 07:00

 RPA(ロボティックプロセスオートメーション)は、働き方改革への具体的な手段の一つとして、企業の規模や業種を問わず導入が進んでいる。多くの企業で本格的な普及期を迎える一方、想定よりも導入による効果が得られないケースや、推進体制、運用ルールなどのさまざまな課題が浮き彫りになってきた。

 アビームコンサルティングでは、RPA専門サイト「RPA BANK」を通じて、2018年10月29日~11月13日にかけてRPAの利用実態調査を実施した。RPAを導入済み、あるいは検討段階の企業を対象とした。有効回答数は772社。

 直近の動向として、戦略ビジネスユニット 執行役員 プリンシパル 安部慶喜氏は「RPAを導入したものの効果や規模がスケールしない」「運用と統制のルールが整備されておらずガバナンス上のリスクがある」「RPAの先にあるデジタル改革をどう推進すればいいか分からない」という声が多く上がっていると説明する。

アビームコンサルティング 戦略ビジネスユニット 執行役員 プリンシパル 安部慶喜氏
アビームコンサルティング 戦略ビジネスユニット 執行役員 プリンシパル 安部慶喜氏

 企業規模別の導入状況で見ると、いずれの企業規模でもトライアルから本格展開までの割合が前回調査(2018年6月)と比べて増加した。1000人以上の企業で85%、300~1000人未満の企業で80%、300人未満の企業で61%が取り組んでいる。

 RPAの推進組織については、トライアル段階でIT部門や推進部門が主導する一方、本格展開の段階では、専門組織が展開を主導している状況だという。本格展開時の課題に関しては、開発者の不足や運用ルールの未整備などが挙がり、以前と比べて組織や体制についての課題意識が高まってきたもようだ。

RPA成功のアプローチとは

 では、成功するRPAのアプローチとは、どのようなものだろうか。「さまざまな企業で本格展開が進む中、成果が出ている企業とそうでない企業に分かれてきた。その差はアプローチの違いにある」と安部氏と指摘する。

 例えば、成果の出ていない企業は、現場部門を中心としたアプローチ(現場型)を取るが、成果の出ている企業では経営層を推進役としたアプローチ(直下型)を取っているという。

 現場型では、部門内での狭い取り組みにとどまるが、直下型では全社的な取り組みが可能となる。そのため、制度や全社的なルールの見直し、部門間のやりとりも含む広い範囲の抜本的な見直しを行えるため効果が大きくなる。

 また、現場型だと、現場の心理的負荷が高い業務が対象になるが、直下型では第三者による投資対効果を意識した業務選定がなされる。そのため客観的に業務時間などの数値的な効果が高い業務を対象にできるという。

 「現場型は、例外業務など現場の負担感の大きい業務が自動化の対象となりがちだ。直下型は、現場で体制や手順が確立された業務もデジタル化の対象にする」(安部氏)

直下型では全社的な取り組みが可能に(出典:アビームコンサルティング)
直下型では全社的な取り組みが可能に(出典:アビームコンサルティング)
投資対効果の大きい業務の選定も可能(出典:アビームコンサルティング)
投資対効果の大きい業務の選定も可能(出典:アビームコンサルティング)
デジタル化を前提として業務課題を発見できる(出典:アビームコンサルティング)
デジタル化を前提として業務課題を発見できる(出典:アビームコンサルティング)

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