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JAL、訓練用VRシミュレーターを披露--汎用品を組み合わせて低コストに

大場みのり (編集部)

2019-04-20 08:00

 日本航空(JAL)は4月17日、コミュニケーション・プランニング(CP)の仮想現実(VR)技術を用いた訓練用シミュレーター(VRシミュレーター)を報道機関向けに披露した。VRシミュレーターは8日からJALグランドハンドリング(JGS)の航空機けん引訓練に導入されている。

JGSの鈴木誠二氏
JGSの鈴木誠二氏

 JGSは、国内の主要空港で航空機のけん引、手荷物や貨物搭降載作業のグランドハンドリング業務を担う企業。航空機は自力で後退できないため、後退する際は「トーイングカー」という専用の車両でけん引しなければならない。「けん引作業には資格が必要だが、実際の運行や整備の都合上、訓練できるタイミングは限られていた」と同社の安全品質部部長である鈴木誠二氏は話す。こういった背景からJGSは、訓練機会の増加とけん引作業の安全性向上を目的に、VRシミュレーターを開発、導入したと説明する。

 VRシミュレーターでは、雨や雪、夜間などの環境条件を任意に設定できると同氏は語る。また、事故が発生した際の緊急時の対応も訓練できるという。実地訓練では少しでも危なくなると教官が止めるため、事故を起こすことは考えにくいが、VRシミュレーターでは仮想現実という特性を生かして体験できるという。加えて、ボタン操作だけで何度もやり直せることから、訓練の負担軽減を見込んでいる。

 現在、ノートPCタイプを3台、デスクトップPCタイプを2台配備しており、2019年度は羽田で5人の資格者を養成する予定。今後に関しては、具体的な効果測定に加え、視覚だけでなくハンドル操作感などの再現や、他の訓練への応用を検討しているという。

CPの高見昌和氏
CPの高見昌和氏

 CPの執行役員である高見昌和氏はVRシミュレーターの特徴として、汎用デバイスのみによる構成と、それを可能にするアプリケーション設計を挙げる。「従来のVR機器は、専用の機器を使う場合が多かったが、このVRシミュレーターはゲームPCやヘッドアップディスプレイ、ハンドコントローラーなど全て市販のもの。それにより、1セット当たり30~40万円と他社より1ケタ少ない価格でそろえることができ、3~4カ月という短い期間での開発が実現した」と同氏は語る。

 アプリケーションに関しては、汎用のゲームエンジン「Unity」をベースに構築している。物理エンジンは複雑である分、従来は専用の物理エンジンをプログラミングしていたが、今回は汎用のゲームエンジンの物理エンジンだけを組み込んだ。もちろん工夫もしているが、CPが提供するソフトウェア「MIXER」を使うことで容易にチューニングできたという。VRを活用したトレーニングには、作業手順や操縦、構造の学習などがあり、今後は自社のサービスを航空機の構造学習にも活用することを考えていると同氏は話す。

 JGSの鈴木氏はVRシミュレーターについて「今の時点ではあくまでも補助的なものであり、実地での訓練が第一。JAL、JGSともに実地訓練の下限時間を定めているため、大幅に減ることもない。ただ、時間や場所、機会を選ばずに訓練できるため、技術の向上や、効率的な訓練を可能にすると考えている」とコメントしている。

羽田空港の格納庫から駐機場へけん引する設定で訓練。実地訓練と同様、教官がリアルタイムで指導可能

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