もはや実展示は日本だけ--Interop Tokyo 2019のShowNet

渡邉利和 2019年06月26日 06時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 Interop Tokyo 2019が6月12~14日の3日間、千葉・幕張メッセを会場として開催された。毎年恒例のイベントだが、注目度の高さは相変わらずのようだ。2019年は同じ幕張メッセを会場に同じ日程で「AWS Summit Tokyo 2019」が開催されていたこともあってか、とにかくやたら人が集まっていた印象だ。ここでは舞台裏でありかつ主要展示の1つでもあるInterop独自の「ShowNet」について紹介しよう。

メンバーが詰めているSTM(ShowNet Team Member)ルームやNOC(Network Operation Center)ルーム
メンバーが詰めているSTM(ShowNet Team Member)ルームやNOC(Network Operation Center)ルーム

 InteropとShowNetは、切っても切れない関係と言えるだろう。Interop自体のスタートは1986年で、まだ黎明期にあったインターネット/ネットワークに関心を持つ学識者やエンジニアが集まり、持ち寄ったネットワーク機器を相互接続して「Interoperability(相互接続性)」を検証する場として開催されたのが、その後の歴史の出発点だ。

 1994年に日本初のInteropが開催された際のキャッチフレーズは、「I Know it works because I saw it at Interop.――実際に動いているところが見たい。ここに来ればそれがわかる。」というものだ。

様子を外から見ることができ、いわば「体を張った展示」状態になっている
様子を外から見ることができ、いわば「体を張った展示」状態になっている

 このエピソードもこれまで繰り返し紹介されており、よく知られているとはいえ、実は現在、世界各国で開催されているInteropのうち昔ながらの形でShowNetが継続しているのは東京だけだという。他国では、規模としてもあまりに手間が掛かり過ぎて運営を続けることができなかったのだろうと想像されるが、今ではベンダーの壁を越えた大規模なネットワーク環境を構築し見せるShowNetが日本のみだとすれば、その見学だけでも会場に出かける価値があるといえるかもしれない。

 そのShowNetは、かつて「標準仕様の解釈の相違などに起因する互換性問題を発見し、解決していく場」という位置付けだった。ずいぶん昔のことだが、ShowNetにはネットワーク機器ベンダー各社が正式出荷前の最新製品を持ち込むとともに、トップレベルのエンジニアも集まっており、実際につないでみて問題が見つかると、その場でファームウェアのコードを書き直して修正する、という作業をやっていると聞いたことがある。いわば、製品出荷直前の最終品質チェックの場として機能していた時代があったわけだ。

NOCに隣接して設けられた「ShowNetラック」の様子。ラック群は「エクスターナル/バックボーン」「テスタ」「サービスチェイニング」「ファシリティマネジメント」「モニタリング/セキュリティー」「出展者収容」「ワイヤレス」「クラウド/データセンタ」という大きなテーマ毎にまとめられて計20本が並んでいた。ぞれぞれのラックの全面が見える窓の隣にはホワイトボードが設置されており、担当者直筆の詳細説明がある。多くの見学者がこの文を隅々まで熟読している
NOCに隣接して設けられた「ShowNetラック」の様子。ラック群は「エクスターナル/バックボーン」「テスタ」「サービスチェイニング」「ファシリティマネジメント」「モニタリング/セキュリティー」「出展者収容」「ワイヤレス」「クラウド/データセンタ」という大きなテーマ毎にまとめられて計20本が並んでいた。ぞれぞれのラックの全面が見える窓の隣にはホワイトボードが設置されており、担当者直筆の詳細説明がある。多くの見学者がこの文を隅々まで熟読している

 しかし、現在では互換性問題の解決というよりは、むしろ「2、3年後の普及技術を先駆けて挑戦」という意味合いが前面に押し出されている。ShowNetは、展示会場内の各社のブースで使われるネットワークインフラであり、来場者にインターネット接続サービスを提供するためのWi-Fiサービス網であり、かつ将来の技術のテスト場であるわけだ。

 今回のネットワーク規模を示す数字を幾つか紹介すると、「機器台数 約2000台」「のべ動員数 447人」「ケーブル総延長 約21.0km(UTP)/光ファイバー総延長 約5.5km」などとなっている。また、見所としては、「High Density Facility(ファシリティーのさらなる高密度化)」「400Gbps Ethernetの相互接続と実運用への導入」「最新ルーティング技術『SRv6』によるサービスチェイニング」「IEEE 802.11ac Wave2/11axを用いた柔軟な無線空間のデザイン」など、さまざまな要素が紹介された。

Interop Tokyo 2019のShowNetの規模を示すさまざまな数字が紹介された
Interop Tokyo 2019のShowNetの規模を示すさまざまな数字が紹介された

 また、昨今のサイバー攻撃の高度化を意識してか、セキュリティーやモニタリングにも注力されていたほか、大容量のトラフィックを生成できるテスト機器などを使ったパフォーマンス測定/各種テストが行えるようになっているのもShowNetならではの取り組みといえるだろう。

 展示会場の一角に設けられたShowNetのエリアでは、ShowNetメンバーが詰めている「STM(ShowNet Team Member)ルーム」や「NOC(Network Operation Center)ルーム」に隣接して用途ごとに整理されたラックが20本配置され、それぞれのラックの担当者による手書きの「見所紹介パネル」も用意されるなど、見せ方にも工夫が見られた。

 取材当日は会期最終日ということもあり、来場者数自体がかなりかったようだが、ShowNetのエリアも常時ほぼ全てのラックの前に人だかりができているような状態で、写真を取るのも一苦労といった状況であった。来場者の関心も高いようなので、既にワールドワイドでも日本でしか行なわれなくなったというShowNetが今後も毎年実施されることを期待したい。

「コアネットワーク」のラック。「ShowNet史上初 400GEサポート」という文字が眩しい
「コアネットワーク」のラック。「ShowNet史上初 400GEサポート」という文字が眩しい

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft Inspire
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]