NTTデータは、グローバルの金融・保険分野の機関を対象したデジタルビジネスプラットフォーム(DBP)に関する調査結果を発表した。
これによると、金融・保険分野の61%の機関が、自社開発サービスを提供する従来の垂直統合型ビジネスモデルから脱却する傾向にあることが判明した。また、グローバル環境下で顧客に独自の価値を提供するためにFinTech企業やInsurTech企業と連携したデジタルビジネスプラットフォームの構築に動き出すなど、約90%の機関が「革新的なデジタル変革が必要」と考えていることも分かった。
NTTデータでは、DBPの導入により、従来の基幹システムを置き換えることなく、1つの枠組み上で複数のビジネスモデルを構築しサポートすることが可能になるとしている。また金融・保険分野の機関は、FinTech企業やInsurTech企業と連携することで新しいデジタル技術を取り入れたり、API経由でデータの共有が可能になるとした。
調査は、NTTデータが海外グループ会社と連携し、2019年当初に行った。日本・米国・英国・ドイツ・スペイン・イタリアにおける金融・保険など(証券、資産運用、カード決済を含む)分野のシニアエグゼクティブ471人が対象。回答者の50%は年間売上規模100億ドルを超える金融機関に属する人で、うち55%は経営に関わる幹部だった。
DBPが金融・保険分野に及ぼす影響については、53%の機関が、「今後1~3年間に金融・保険分野に最も大きな影響をもたらす要素はAI(人工知能)やブロックチェーンなどの新技術である」と回答しており、84%の機関が「マーケットの方向性に多大な影響を与えるのは、金融・保険分野そのものではなく、それ以外の分野である」と回答している。また「AmazonやAppleなどの新規参入は金融商品の大きな競合相手になり得る」と回答した機関は83%に上っている。
DBPと市場環境の変化との関連では、85%の機関が「DBPは競争力のあるポジショニングを再構築する機会になる」と考え、83%が「従来型基幹システムのDBPへの統合が今後3~5年における競争力確保にとって重要である」と回答している。
金融・保険分野でのDBPの成熟度についは、現在、DBPを既に保有し活用開始している企業はわずか23%で、77%の機関が立ち上げ段階または未着手と回答している。また各業界のDBP対応状況比較では、DBP構築済みの機関は、保険分野では32%、銀行では23%、その他金融機関(金融仲介業、キャピタルマーケット、資産運用会社など)では19%となり、金融分野よりも保険分野が先行している結果となった。
国別のDBP導入状況では、成熟度の高いDBPを導入している国別のランキングで、イタリアが43%、ドイツが38%、スペインが23%、日本が22%、英国が18%、米国が8%となった。PSD2(EU決済サービス指令)規制の効果で、DBP構築においては欧州が先行している。
DBP活用による効果については、既にDBPを活用している企業の23%が実感した効果として、顧客サービスレベルの向上が46%、市場ニーズへのスピーディーな対応が44%、売上拡大が44%、顧客定着率の向上が41%という結果となった。
FinTech企業、InsurTech企業とのパートナー連携については、84%が「FinTech企業やInsurTech企業との連携が増える中で、新しいパートナー提携が可能になりつつある」と認識しており、金融・保険分野が連携する販売パートナーや代理店において、FinTech企業、InsurTech企業を含む新興企業が占める割合は66%という結果となった。また53%の企業が、第三者機関のサービスをDBPに統合することを想定している。
NTTデータは今回調査結果を受け、デジタル化を推進している金融・保険分野の機関は、DBPについて、そのデジタル特性や機能を活用して従来の基幹システムを効果的に改修するための道筋と捉えているとしている。またDBPを活用することで、従来の垂直統合型ビジネスも、プラットフォームやデジタル・エコシステムに支えられた新しい時代に存在感を発揮することが期待されているとした。