新たに行われた調査で、ネットワーク技術の専門家は、機械学習がネットワーク管理の重要な構成要素だと考えるようになっていることが明らかになった。ネットワークアナリティクス製品を提供している企業Kentikによれば、この考え方は(少なくとも部分的には)マルチクラウド環境の普及を受けたものだという。
同社は、ネットワーク技術の専門家が人工知能(AI)や自動化の利用をどう考えているかを探るために、6月に米カリフォルニア州サンディエゴで開催されたカンファレンス「Cisco Live US」の参加者388人を対象として調査を実施した。回答者の約半数はネットワークエンジニアであり、残りの半数には、企業のシニアバイスプレジデント、バイスプレジデント、ディレクター、マネージャー、アーキテクト、開発者などが含まれていた。回答者が属する業界は、教育業界、エネルギー業界、金融業界、行政部門、医療業界、テクノロジー業界など多岐に渡っている。
回答者の大多数である65%は、機械学習が今やネットワークの管理に「極めて重要」あるいは「非常に重要」だと答えている。Kentikが2018年に実施した調査では45%だった。この考えは、役員クラスの回答者と、技術的な肩書きを持つ回答者の間で共通している。
Kentikは、ネットワーク管理における機械学習に対する関心の高まりを、クラウド環境の利用拡大と結びつけて考えている。調査対象の76%がクラウドサービスを利用していると述べており、半数近く(47%)はマルチクラウド戦略を導入していた。
Kentikの戦略的アライアンス担当バイスプレジデントJim Frey氏は、発表文の中で「人間や、手動による作業プロセスは、もはやネットワークのイノベーションや進化、複雑さ、変化についていくことができない」と述べ、「自動運用ネットワーク、自動修復ネットワーク、インテントベースネットワーキングなどが話題になることが増えたのは、それが理由だ」と説明している。
実際Ciscoは、Cisco Liveのカンファレンスで、AIや機械学習をネットワークの深層に組み込むよう設計された、さまざまなソフトウェアの強化を発表した。一方Kentikも、ネットワークプロフェッショナル向けの製品である「AIOps」を提供している。
特にエネルギー業界では機械学習に対する関心が高く、回答者の75%がネットワーク管理にとって機械学習は「極めて重要」または「非常に重要」だと答えた。また、この業界の回答者には、機械学習が「まったく重要ではない」と考える人は1人もいなかった。
一方で、もっとも関心が低かったのは医療業界の回答者で、機械学習が「極めて重要」あるいは「非常に重要」だと答えたのは41%だった。
テクノロジー業界を除くと、ネットワーク性能やネットワークセキュリティを管理するための完全な自動化に向けた備えがもっとも進んでいたのは、やはりエネルギー業界だった。エネルギー業界の回答者の30%は、所属企業は完全な自動化に「極めて準備ができている」または「非常に準備ができている」と述べている。一方、医療業界では、所属組織が「非常に準備ができている」と回答したのは3%にすぎなかった。
調査では、もっとも自動化が進んでいる作業はネットワークの設定であることも明らかになり、この分野を挙げたのは回答者の53%に及んだ。次に自動化が進んでいた分野はポリシー管理で、回答者の40%がこの用途を挙げた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。