Ciscoは米国時間6月10日、人工知能(AI)と機械学習(ML)をネットワークのより深い部分で活用できるようにする、一連のソフトウェア強化を発表した。新しい主な機能にはネットワークの自動化やアナリティクスツールがあり、企業のITチームがネットワークデータからより多くの知見を収集し、ネットワークを可視化できるように支援したいという意向がみてとれる。
ネットワークの可視化については、新しい機械学習機能がローカルネットワークから関連データを収集し、集約された非特定データと照らし合わせて分析を行う。そしてデバイス、ユーザー、アプリが追加されるたびに適応するベースラインを、ネットワークごとに設定する。同時にCiscoのMLが、ネットワークデータ量と個々のネットワークのベースラインを照らし合わせ、ネットワークの潜在的問題を発見して、問題が発生する前にIT担当者に通知する。
Ciscoは機械推論アルゴリズムを利用し、IT管理者とネットワークエンジニアが問題や脆弱性をより素早く検出して解決できる、トラブルシューティングの機能向上も明らかにした。
Ciscoはさらに、同社のインテントベースネットワーキング技術も強化した。これは同社が、エンタープライズアクセスポートフォリオ全体で統合を進めている技術で、顧客がより多くのユーザーやデバイスを管理できるように支援するもの。Ciscoはこの取り組みをさらに進めるべく、セキュリティー、セグメンテーション、アプリケーション体験をエンドツーエンドで提供できるようにした。
Ciscoによれば、「Cisco SD-Access」を「Cisco SD-WAN」および「Cisco Application Centric Infrastructure(ACI)」と統合することで、ITチームはブランチ、データセンター、クラウドネットワーク上で、ユーザーとデバイスの認証、追加、セグメント化を容易に行えるようになる。また同社はアプリケーション体験を改善すべく、アプリケーション要件をデータセンターとWAN間で自動的に連携するほか、暗号化トラフィックの脅威検出機能をパブリッククラウドまで拡張した。
さらにインテントベースネットワーキング技術を、化学工場、石油精製所、鉱山などの過酷な環境でも利用できるように、堅牢性を高めた新しい産業用スイッチ、アクセスポインチ、ルーターを発表した。
ほかにも、同社の開発者向けプログラム「Cisco DevNet」に、新たなリソースを用意した。コミュニティーベースの開発者向けセンターである「Cisco DevNet Automation Exchange」は、ネットワーク自動化のさまざまな使用事例で利用できる厳選されたコードを集めた。「Cisco DNA Center Platform」は、開発者が新しいアプリケーションや統合を行えるように支援する。
DevNet Innovation担当バイスプレジデントで最高技術責任者(CTO)のSusie Wee氏は、次のように述べている。「ネットワーキング技術は過去2年間ほどで、大きな進化を遂げている。新しいネットワークはビジネスを加速させ、新しいアプリケーションの触媒となるほか、ネットワークにDevOpsプラクティスを導入できる。さらに当社は、ソフトウェアプラクティスをネットワーキング分野でも活用すべく、コードを共有できるレポジトリを用意した。ネットワーク管理者と開発者のコミュニティーは、ネットワーク自動化に関する困難な問題を協力して解決できる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。