IBM、信頼できるAIの開発に向けLinux Foundation AIに参加

Stephanie Condon (ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 (ガリレオ)

2019-08-22 12:32

 企業による人工知能(AI)の利用が急速に進んでいる。Gartnerの計算によると、組織の半数以上がすでに、少なくとも1つのAIをデプロイして運用しており、今後数年以内にAIの採用を大幅に加速する計画を立てている。同時に、こうしたツールを開発したりデプロイしたりする組織は、本当の意味でAIの不具合や欠点にまだ対処したことがない。デプロイしたモデルが公正で倫理的で安全なものであろうと、あるいは説明可能なものであろうとだ。

 IBMは、欠陥のあるAIシステムが世界にあふれる前に、信頼できるオープンソースAIワークフローの開発を促そうとしている。そうした取り組みの一環として、同社は「一般会員」としてLinux Foundation AI(LF AI)に参加する

 IBMのオープンテクノロジー担当バイスプレジデントを務めるTodd Moore氏は、米ZDNetの取材に対して次のように語った。「AIは、成熟するにあたって、一般市民から信頼や信用を得られるような形で成熟する必要がある」「あまりに頻繁に耳にする声として、AIはブラックボックスだ、どのようにしてその結論にたどり着いたのかわからない、モデルにバイアスがかかっている、もっと公正でなければならない、といったことがある。そうしたことが声高に明言されるのをこれまで聞いてきて、業界の前進を助けるべき時だと感じた」

 Linux FoundationのプロジェクトであるLF AIは、AIや機械学習、深層学習関係のオープンソースプロジェクトの促進に向け、特定のベンダーに偏らない中立的なスペースを提供する。AT&T、百度(バイドゥ)、Ericsson、Nokia、華為技術(ファーウェイ)などの大手企業が後援している。

 IBMには、オープンソースを支援してきた長い歴史があり、信頼できるAIの開発については、急速にハードルを上げるのがなぜ正しい方法であるのか、Moore氏は次のように説明した。「全員が協力して迅速に改善を重ねていけば、どの企業1社にできるよりも、はるかに大きく進展できる」

 オープンソースプロジェクトを支援すれば、IBMのようなAIベンダーにとって市場での機会が拡大するという付加的なメリットもある。目標は、AIの信頼性を高めるツールを開発し、「誰でも検査や貢献ができる方法で、共同で行うこと」だ。

 IBMは、LF AIに参加することで、同組織の全プロジェクトに、信頼できるAI技術をもたらすことを目指している。IBMは、LF AIの委員会と協力し、実用環境でオープンソースツールを利用するための参照アーキテクチャーやベストプラクティスを構築する予定だ。

 IBMはすでに、信頼できるAIの開発に役立つ一連のオープンソースツールキットを提供することで、こうした面での取り組みの先頭に立ってきた。

 さらにLF AI Foundationと非公式な形で協力し、イベントに参加したり、Foundation Technical Advisory Committeeの「ML Workflow」のようなプロジェクトに貢献したりし始めている。

 信頼できるAIの開発は初期段階だが、Moore氏は次のように述べている。「こういった取り組みが始まり、問題が認識されるようになったのはいいことだ。デファクトスタンダードを確立し、人々の役に立つツールを開発できるかどうかは、われわれにかかっている」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]