日本マイクロソフトは8月6日、デジタルトランスフォーメーションにおける最新インフラへの移行に関する取り組みを紹介する記者説明会を開催した。サーバー向けOS「Windows Server 2008/2008 R2」のサポート終了を2020年1月に控え、システム基盤移行のセキュリティ面で同社がIaaS/PaaS「Microsoft Azure」でどのように支援できるか解説した。
Windows Server 2008/2008 R2の延長サポート終了が2020年1月14日に終了する。日本マイクロソフトでは、同OSによる環境をよりスケーラブルでアジャイルなクラウド環境にいち早く移行することをユーザーに求めており、Azure環境にリフト&シフトできるのであれば延長セキュリティ更新プログラムを3年間無償で提供するので、その3年間でレガシーなアプリケーションをアップデートすることを提案してきたという。
これに対して、現在、移行状況はどのようになっているのか。日本マイクロソフトの業務執行役員でクラウド&エンタープライズビジネス本部の本部長を務める浅野智氏がMM総研の調査結果を引用して説明した。
浅野智氏
Windows Server 2008/2008 R2稼働台数は、8月の調査時点で32万1827台、サポート終了時で10万2698台となる予測されている。1年前の調査ではサポート終了時の稼働台数が32万5197台と予測されており、半数以上の減少となる。その要因について浅野氏は、Microsoftの次のような取り組みが寄与していることを挙げた。
同社はおよそ1年前、同OSのサポート終了に伴い、サーバー移行センターをパートナー企業と設立することを発表している。その後、顧客企業へのヒアリングで「完全にイチかゼロでクラウドへは行けない」という声が多かったことを受け、ハイブリッドのメリットを生かすことを提案。また、ファイルサーバーが多数残っているような場合には、大量のデータをAzureに転送できるアプライアンス「Azure Data Box」などを利用することを呼びかけてきた。そして、2019年に入ってからは、Azureとほぼ同等の環境をオンプレミスに構築できるハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)である「Azure Stack HCI」によるアプリケーションと仮想マシンの移行の支援を発表している。
Windows Server 2008/2008 R2稼働台数
提供:日本マイクロソフト
同じくMM総研の調査によると、移行先としてのクラウドは、2018年3月の調査結果では7.3%だったが、2019年6月には26.9%に増加しているという。また、移行先としてAzureが2018年12月および2019年6月の調査では1位になっていると浅野氏は述べ、Azureに移行した事例としてカゴメと三井情報を挙げた。
カゴメは、2015年から戦略的にAzureによるクラウド化を推進しており、SAPの統合基幹業務システム(ERP)「S/4HANA」の移行により業務システムの大半でクラウド化を完了している。独自仕様システムの氾濫、増加するITコスト抑制の必要性、必要とされる運用リソースの肥大という課題があったが、S/4HANAに移行したことで管理部門業務で年間4.6万時間の効率化、コストを増やすことなく基盤運用の効率化、Microsoftによる基盤からソフトウェアまでの統合サポートというメリットがあったという。