Silver Peak、シネックスと販売代理店契約--「SD-WANはアーミーナイフ」

阿久津良和

2019-08-30 06:45

 Silver Peak Systemsは8月29日、SD-WANプラットフォームの新たなパートナーとして、ディストリビューターのシネックスジャパンと日本での販売代理店契約の締結を完了したことを発表した。同日開かれた記者会見で、Silver Peakの日本アジア太平洋地域の営業を担当するバイスプレジデントのDean Vaughan氏は「日本市場に根付けるように存在感を示していきたい」と展望を語った(Silver PeakはSD-WANを「Software-Defined」ではなく「Self-Driving」と定義している)。

 日本におけるSD-WAN市場は2003年時点で3400万ドル(約36億円)だが、直近の調査によれば18億ドル(約1910億円)まで成長しているという。アジア諸国の最高情報責任者(CIO)を対象に調査すると、導入を検討しているソリューションにSD-WANの名を上げているのはシンガポールと日本としている。

 成長の背景には、データセンターからクラウドへの移行がある。ある調査では7割のアプリケーションがクラウドへ移行し、「この流れは加速している」(Vaughan氏)という。だが、Vaughan氏は「今日の企業は『ルーター中心型』『基本的なSD-WAN』と2つの妥協的選択肢を強いられている。ビジネスファーストなネットワーキングモデルへ移行すべきだ」と強調する。

Silver Peak Systems 日本アジア太平洋地域営業担当バイスプレジデント Dean Vaughan氏
Silver Peak Systems 日本アジア太平洋地域営業担当バイスプレジデント Dean Vaughan氏

 ルーター中心型はレガシーの制約でさまざまな問題を生じており、基本的なSD-WANもパフォーマンスに難があり、「スマートフォンからアクセスした方が早いケースもある」(Vaughan氏)という。

 昨今では、特定のアプリケーションだけを各拠点から直接インターネットへ接続させ、インターネットゲートウェイへの一極集中を防ぐインターネットブレイクアウト(ローカルブレイクアウト)といった回避策を取る企業も少なくないが、Vaughan氏は「日本が直面する問題はクラウド時代において、クラウドへのアクセスパフォーマンスについて自社データセンターでホスティング時と同じ速度をどのように実現するか」と指摘する。

 国内で閉じていれば、ある程度の回避策は想定できるものの、各国に拠点を持つ多国籍企業は、国外の公衆網が持つ「高額」「低品質」という課題に取り組まなければならない。このような状況を踏まえて同社は「SD-WANはスイスのアーミナイフのようなもの」(Vaughan氏)と多機能性をアピールした。

 Silver Peakが開発する「Unity EdgeConnect」はビジネスの用途に合わせて、必要なアプリケーションを優先する機能を備えている。オーケストレーションツールである「Unity Orchestrator」を介して定義すれば、トラフィック処理の最適化が可能だ。たとえばVoIPが必要な場合は音声トラフィックを優先できる。

 また、マレーシアに工場を持つ国内企業が回線問題に遭遇した場合、通常であれば冗長性を担保するために複数回線を用意するが、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)プロトコルを用いた仮想回線やアプリケーションのパフォーマンスを最適化する「Unity Boost」で対応可能だと説明した。

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