問題を解決したり優先順位を設定したり
遠くない将来、VAは独立して問題を解決し、ワーカーに先を見越して提案するようになると予想されます。個々のワーカーの作業負荷を計算し、いつ休みを取るべきかを提案し、またどの作業を優先的に行うべきか、あるいは他の人に任せるべきかを指摘する能力を獲得するようになります。
この時点ではワーカーはVAが過去の行動やパターンを分析し、「最善」の行動を教えてくれることに感謝するようになるかもしれません。同様に、大量の複雑なデータを分析しなければならない作業については、当然ながらVAとその高度な処理能力に委ねられるようになります。
VAは最終的にはワーカーが自らの仕事や作業を整理することによって生産性を維持し、同時に自らの能力を把握することを支援するようになります。VAはまた単調な繰り返し作業の一部を引き受け、高度な思考、創造、意思決定により多くの時間を割けるようワーカーを補佐し、ほとんどの時間において最高の成果をもたらしたり、より関心の持てる仕事に注力できたりといったことが可能になります。
すべての人にとっての個人秘書であり、協力者として
必要なリソースや書類を直ちに見つけてくれ、必要な時には必ずそこにいる、また退屈な繰り返し作業を引き受けてくれる秘書がすべてのオフィスワーカーに付いているところを想像してみてください。
これがVAテクノロジーが向かっている方向であり、もし人間がVAを自らの職場での役割を良い形で補佐するものであると考えられるようになれば、信頼と協力に基づく関係が人とVAとの間に生まれ、意思決定において真の協力がなされるようになる大きな可能性が存在します。
重要なことは、VAが持つメリットと価値が個々のワーカーに常にフィードバックされ、またテクノロジーが洗練の度合いを高めシナリオがさらに複雑になるとともに、人々がVAによる支援をより受け入れるようになることです。
企業はどのように対応すべきか
現在は「考える機械」についてさまざまな議論がなされています。この文脈においてVAは人に代わって作業や職務を担い、企業が人々に求めるスキルに変化をもたらしています。これが将来や人間の職務の一部が不要となることについての不安を引き起こしていることは確かです。
しかし、企業にとって重要なことは、将来への適応を今すぐ開始し、VAや他の機械学習テクノロジーが従業員に及ぼす影響を、その複雑さも含めて検証することです。
VAテクノロジーがどのように設計され、使用されるかをコントロールするのは最終的には人間です。人々が代替可能なものとなることはなく、テクノロジーは常に人間によって規定されます。人の可能性が「インテリジェントな」機械との協力を通じて高められ、より高度な知的作業に時間を費やせるようになる新たな現実に注力すべきです。
- 永長純(ながおさ・じゅん)
- シトリックス・システムズ・ジャパン セールス・エンジニアリング本部 本部長
- 前職ではアジア太平洋地域を担当し、様々な国の企業にビジネスやコスト、人の観点から提案を実施。その経験を生かし、日本企業が国内とグローバル競争で勝つためにワークスタイル変革を含めたソリューションを提供するのがミッション。
- 小林伸睦(こばやし・のぶちか)
- シトリックス・システムズ・ジャパン アジア・パシフィック・ジャパン事業推進本部 ソリューション・推進マネージャー兼エバンジェリスト(総務省テレワークマネージャ)
- イベントやセミナーなどの活動を通して働き方やワークスタイルの変革を推進しながら、「デジタルワークスペース」ソリューションのエバンジェリスト活動を行う。新しいテクノロジで市場の開発を目指す。