製品に大きな自信を見せるが、その裏付けにコンビニエンスストアでの大きなシェアがあるようだ。シャープの複合機は、全国のファミリーマートとローソンで導入。コンビニの市場全体から考えると、約6割ほどのシェアを持つことになるという。
操作のしやすさは、導入の決め手の一つにも挙がったようだ。「様々な来客があるコンビニで都度操作方法を聞かれることは、店員への負担となる。マニュアルを読まずにわかることが大きかったときいている」(織井氏)。大きなシェアそのものが使いやすさの証明になると胸を張る。
オフィス向けに好評な機能としては、「クイックログイン」を紹介。パネル上にユーザーごとのアイコンを作成できるという。複合機にログインできるほか、ログイン後の各自の画面もカスタマイズ可能。文字の色や背景、よく使う機能に加え、日本語や英語、中国語など全27カ国語の言語が活用できるという。
クイックログインでは自分用のアイコンを用意できる
複合機と連携する製品やサービスに注力
複合機そのものは好評だが、機器単体でのビジネスの限界も感じているという。機器同様に注力する点がサービスや周辺機器との連携だ。複合機から操作できるユーザーインターフェース(UI)を備えた、各種クラウドサービスと連携する専用アプリを用意。ユーザーが個別に連携させなくても活用できる機能拡充に力を入れているという。
例えば、「Google ドライブ」「Dropbox」「OneDrive for Business」などのクラウドストレージの各種データは、PCを介さずに直接複合機から操作、印刷できる。ウェブ会議SaaS「TeleOffice」や業務用ディスプレイとして活用できる電子黒板「BIG PAD」へは、スキャンしたデータをそのまま転送可能。PCレスで活用でき、会議での書き込みなどでアップデートした資料の印刷も可能。そのままクラウド上に残るため、保存のためにプリントアウトする必要も無いという。
Google Driveをはじめ、様々な連携サービスを複合機から操作できる(出典:シャープ)
名刺の管理という観点では、NTTデータNJK(中央区)の「やさしく名刺ファイリングPRO」、親会社となる鴻海精密工業(ホンハイ)のグループ会社Thecus Technologyのネットワーク接続ストレージ(NAS)と連携。取り込みから保存、一元管理までを提供するという。
同様に、紙文書をデジタル化するための光学文字認識(OCR)は、ABBYYジャパン(横浜市港北区)のソフトウェア開発キット「ABBYY FineReader Engine」をエンジンに採用してサービスを展開。OCRがついていない機種にも、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)や文書管理システムといった外部システムと連携しやすい環境を提供するという。
それぞれのアプリを管理するポータルサイト「Application Portal」も用意。登録されているアプリケーションは利用者自身でダウンロード、更新可能。
Application Portal活用イメージ(出典:シャープ)
シャープの複合機が設置されていることを活用し、コンビニとも連携した「ネットワークプリント for Biz」を展開。シャープの機器を導入する法人ユーザーであれば、コンビニでプリント、月々の後払いとして法人単位で処理できるという。最寄りのコンビニで印刷可能となり、事務所に戻る手間やモバイルプリンターが不要。作業効率の向上に加え、セキュリティ面でも効果的と説明する。
誰でも使える「ネットワークプリントサービス」を法人契約できる(出典:シャープ)
今後の展開イメージもあるようだ。「複合機の後ろに連携した業務用ディスプレイを設置、ファクス受信、トナー切れなどの表示もできる“オフィスサイネージ”なども展開していく。また、2018年からグループ会社に加わったPCベンダーDynabookとの連携にも注力していきたい。シャープはそもそも家電メーカー。多くのユーザーの声を反映した使いやすい商品を市場に提供し続けているという特長を生かし、複合機と連携できる製品やサービスを拡充、ビジネスを広げ、使い勝手の良さを訴求していく」(織井氏)