日本全国でペーパーレス化が進みつつあるが、紙をなくすことはできないと考えている方も多いのではないだろうか。デジタル化したファイルで事足りたり、コンビニなどを活用して外で印刷できる機会も増えたりしているとはいえ、出力機器が皆無というオフィスはまだまだ少ない。
カラーかモノクロか、顔料やプラスチック粒子でできた粉末で構成するトナーを紙に転写する“レーザープリンター”か、液体インクを用紙に直接噴射する“インクジェットプリンター”か、はたまたコピーやスキャンといった印刷以外の機能も備えた“複合機”なのか。いくつかの選択肢はあるが、いずれにせよ紙にできるなんらかの出力機器はあるはずだ。
プリンターや複合機などの印刷機器を提供するベンダーごとに紹介する。第2回はセイコーエプソン製品の国内販売を担うエプソン販売(エプソン)。
世界初の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」を開発し、その子供たち(SON)を世に送り出したいという想いから1975年に誕生したというエプソン。時計やコンピューターを市場に投入しつつ、1984年にはインクジェットプリンター商品化第1号となる「IP-130K」を発売。今ではレーザー方式のプリンター販売もしつつ、インクジェット方式を得意領域としている。
インクジェットのエキスパート
一般的なビジネス用途を想定した場合、例えば20~30人ほどのチームや課で活用する1台としては、A4文書1枚あたりカラー約2.0円で1万1000ページ印刷できるA4カラー複合機「PX-M886FL」、A4文書1枚あたり約0.6円で3万5000ページ印刷できるA4モノクロプリンター「PX-S381L」などのビジネスインクジェットがお勧めになるという。それぞれオープン価格だが、税別の参考価格は10万9980円、7万9980円。
PX-M886FL(出典:エプソン)
そもそもエプソンでは、レーザーと比較した場合、インクジェットの方が多くの面でメリットがあると説明する。印刷に熱を使わないため、低消費電力で環境にも配慮、起動が早いためファーストプリントまでの時間も短いという。1分間に印刷できる枚数も多く、万が一紙詰まりが起きた場合も自分で引き抜きダウンタイムを抑制できるという。
一般的に、ビジネス向けに活躍する印刷機器はレーザーが多い。インクジェットが敬遠される理由の一つに文字のにじみなどをあげる声があるが、エプソンのビジネスインクジェットは多くのモデルで顔料インクを採用。インクを紙の表面に定着させる方式で、紙に染みこませる一般的な染料インク方式に比べてにじまない、裏移りしないなどの特長があるという。
カラー色の場合のズレが少ない、再現性が高いなど、従来から写真やデザイン用途には定評があるインクジェット。中でもエプソンはコンシューマー向けに「Colorio」シリーズを展開、インクジェットで印刷した写真に限定したフォトグランプリを開催するなど、画質へのこだわりが高いメーカーといえる。全体的な市場もレーザーが微減する一方、インクジェットは微増し傾向にあり、ビジネス面を含めて全体的に導入が増えつつあるようだ。
PX-S381L(出典:エプソン)
導入が特に増えている業種としては、チラシ印刷などの大量かつ高画質、素早さも求められる分野で進んでいると説明する。教育分野も導入が進む市場の一つで、職員室や印刷室に複合機と簡易印刷機がある、昔と変わらないような学校もまだまだ多いという。教育委員会などからの要望で“先生の働き方改革”の有効策としての導入が進んでいるという。