2019年の現在は、デジタルトランスフォーメーション(DX)がIT部門の耳に入るようになった。定義や捉え方は企業によって異なるが、五輪特需や大型プロジェクトの活況が終わった先の2025年は、本格的なDXの時代が始まるであろう。しかし、期待されるDXは全社レベルで検討すべきビジネスの話か、IT部門が検討すべきITの話か――これまでのDXの前身に当たる方法論をもとに、2025年に想定される事象をシミュレーションし、その先のIT部門の年齢構成の変化も読み解きながら、DX時代のIT部門の姿を全8回の連載で占う。第1~4回はDXのガバナンス、第5~8回はDXのテクノロジーがテーマだ。
メディアでも「DX時代の~」「DXとは~」という話題や定義が頻繁に掲載されるようになり、経済産業省の「DX推進ガイドライン」でも定義されてきた。ただ、企業の経営層、とりわけIT部門のCIO(最高情報責任者)や情報システム部門長(以降、IT部門長)などが、2020年度の予算獲得や五輪以降のビジネスとITシステムを検討した場合、具体的に「どのようなことを、どのような体制で、どのくらいの予算で、どのような方式で」推進していくべきなのか悩み、具体例が欲しいと思っている。
図1.DXへの誤解。DXがウェブ上で一人歩きをしている(出典:丸紅ITソリューションズ、2019年11月)
DXは、短期決戦のビジネスモデル構築の話ではない。そのため、DXを理解するには、国内の企業において過去のビジネスがどのようにトランスフォーメーション (Transformation)されたのかを検証する必要がある。現在のDXが誕生するまでの変遷を見ていこう。