2025年に向けてDXを推進するIT部門の役割

第3回 DX推進で用意していくべき「撤退の議論」

石橋正彦

2019-12-04 06:00

 2019年の現在は、デジタルトランスフォーメーション(DX)がIT部門の耳に入るようになった。定義や捉え方は企業によって異なるが、五輪特需や大型プロジェクトの活況が終わった先の2025年は、本格的なDXの時代が始まるであろう。しかし、期待されるDXは全社レベルで検討すべきビジネスの話か、IT部門が検討すべきITの話か――これまでのDXの前身に当たる方法論をもとに、2025年に想定される事象をシミュレーションし、その先のIT部門の年齢構成の変化も読み解きながら、DX時代のIT部門の姿を全8回の連載で占う。第1~4回はDXのガバナンス、第5~8回はDXのテクノロジーがテーマだ。

 第2回では、DXを推進する上でビジネスやガバナンスの検討の話をした。DXが誕生するまでのIT業界55年間の変遷や、連結/カンパニー制のIT部門の指揮系統やガバナンスの違いを説明した。

 第3回では、今後DXを推進していくIT部門としての「DX推進体制」を分析し、IT部門がどのようにビジネスに貢献し、上手にDXから“撤退”できるかについて仮説を立ててみよう。

 上の図6では、今後DXを推進するに当たって想定されるIT部門の体制を4パターンに分け、それぞれを仮説として考えている。

 1は、過去のIT部門でよく実装された体制だ。短期的にコンサルティングを雇うのではなく、長期的にコンサルファーム(SI)から要員を調達するために、株主としてコンサルファーム(SI)の出資を受け、専門家を情報システム子会社に入れるパターンである。また、その逆もあり、コンサルファーム(SI)との提携が形骸化したため、いったん資本を引き上げて元の情報システム子会社に戻るパターンもある。

 2は、DXにおいて海外を含めたビジネスを推進するために、IT部門がビジネスに率先して貢献しているパターンである。10年前であれば、工場の誘致とIT部門の参加が同時期であったが、2019年の現在はスマートフォンやパブリッククラウドの利用で、海外に当初から派遣された要員のITツール(Office 365やbox、チャット/音声通話/テレビ会議など)を、本国のIT部門が先頭に立って導入を支援するパターンだ。

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