SD-WAN市場はまだ比較的初期の段階にあるものの急速に拡大しており、IDCをはじめとする業界アナリストによれば売上高の年平均成長率は69%に達し、2021年までに80億米ドルの規模にまで拡大すると予想されています。
テクノロジーについては多数の企業が選ぶべきベンダーを含めて代替となり得る選択肢を検討していますが、その展開には問題や障壁も伴います。特に概念実証モデルを検討中の企業においては、繰り返し見られる問題がいくつか存在します。
市場の成長を妨げている要因のひとつに、SD-WANには従来のMPLSと比較して数多くのメリットが存在するものの、もうしばらくMPLSで「間に合わせ」られるなら、十分であると多数の企業が考えていることがあります。MPLSは信頼できるテクノロジーですが、しかしこれが生まれてから25年が経過した今ではさまざまな制約が明らかになっています。
SD-WANははるかに高速、安全、かつ信頼性に富み、今日のクラウドファーストの環境により適しています。しかし優位性が明らかであり、対費用効果も実証されているとはいえ、優先すべき課題が数多く存在する中でSD-WANに必要な初期投資が経営陣から承認されるとは限りません。
とりわけ、企業は展開を自社で行う(DIY)か、あるいはコマネージドまたはフルマネージドのサービス(MSP)として行うか、そのどちらがより優れているかを決めかねているように見えます。
DIYモデルを採用した企業はSD-WANのための機器を購入し、各拠点への設置と設定を自社で行います。そうしない企業はセットアップの段階にシステムインテグレーターまたは通信サービスプロバイダーを使い、ネットワークの管理は自社で行います。あるいは展開とメンテナンスからコマネージドまたはフルマネージドまでのネットワークサービスまでにわたり、マネージドネットワークのサービスプロバイダーに委託します。
DIYによるSD-WANは、企業がネットワークとアプリケーションのルートを完全にコントロールでき、またこの定義と管理を中央から行えるという理由により、この方式を好む企業も存在します。これは特に機密を要するデータを扱う企業にとって重要な要素です。マネージドサービスの費用を回避できることも予算の限られた企業にとっては魅力的です。
しかしDIY方式には数多くの欠点があり、具体的には、この業界では迅速に展開を成功させるために必要なスキルセットが不足していることが多く見られます。SD-WAN導入はまた、サービスレベル契約(SLA)の問題、ベンダー間の相互運用性に関わる問題、営業サイクルの長さ、概念実証テストなど、非常に技術的に込み入った作業となり得ます。このルートは容易に選択すべきではありません。
これに対し、マネージドサービスによる方法は、費用はややかさむものの、長期的な費用対効果を考慮すれば問題とならない場合もあり、また月次の固定金額やOPEXモデルによる導入への人気が企業の間で高まってきています。このモデルを選択した企業はまたSLAによって保護され、サービスプロバイダーは社内チームよりも迅速にトラブルシューティングやサービス復旧を行えます。さらにマネージドSD-WANのプロバイダーは複数のネットワークプロバイダーを集約、管理でき、またベンダーによってすでに検証が行われているため長期間にわたる概念実証テストの必要もありません。