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Windows Virtual Desktopは「攻めのVDI」--シトリックスとMSが説明

阿久津良和

2019-11-25 06:00

 シトリックス・システムズ・ジャパンと日本マイクロソフトは11月22日、マイクロソフトが9月末に一般提供を開始した「Windows Virtual Desktop(WVD)」と、これと組み合わせたシトリックスの「Citrix Cloud with Windows Virtual Desktop」に関する説明会を開催した。

 WVDは、Microsoft Azure上で動作する仮想デスクトップ基盤(VDI)サービス(DaaS:Desktop As A Service)で、Microsoftが2018年9月に開催した「Ignite 2018」で発表された。3月にパブリックプレビューが開始され、9月末から一般提供されている。

 両社によれば、パブリックプレビューの時点でPoC(概念実証)を行う日本企業も多く、オンプレミスなどで稼働しているVDIの移行先として注目を集めているという。日本マイクロソフトの佐藤壮一氏は、「VDIとクラウドは生産性の向上と将来的なビジネスビジョンを描ける」、シトリックスの小林伸睦氏は「ビジネスを加速させ、貢献するためのツール」と、それぞれにソリューションの位置付けを語った。


 シトリックスは、長年にわたってマルチユーザー環境の実現に貢献し、近年はVDIソリューション「Citrix XenApp」などを中心に展開しているが、「VDIに対する需要が変化している」(小林氏)という。従来はIT運用の効率化やセキュリティリスク対策として用いられてきたが、昨今は顧客エンゲージメントや社内外のコラボレーション、働き方改革といった文脈で注目を集めるようになった。

 小林氏によれば、縮小する日本市場を背景にとして企業には、VDIで顧客忠誠度を高めながら、優秀な人材を集めるために快適に働ける環境整備の一環として、従業員エンゲージメントの向上が求められている。イノベーションによる価値創造に注力するためのVDI、多様な働き方を実現するためのVDIというソリューションが合致するという。顧客がVDIソリューションを導入する理由として同氏は、「社会変化への対応」「スピード」「グローバリゼーション」「働く環境とIT」が存在し、ITの恩恵を享受するためにクラウドシフトが進んでいると分析している。

シトリックス・システムズ・ジャパン アジア・パシフィック・ジャパン事業推進本部 ソリューション推進マネージャー兼エバンジェリストの小林伸睦氏
シトリックス・システムズ・ジャパン アジア・パシフィック・ジャパン事業推進本部 ソリューション推進マネージャー兼エバンジェリストの小林伸睦氏

 Microsoftも、Windows Serverを核としたVDIソリューションを長年手掛けてきたが、既にアプリケーション単位のVDIは「Azure RemoteApp」に移行し、VDIソリューションの見直しが求められていた。その回答がWVDになる。Windows ServerやWindows 10、間もなくサポート終了を迎えるWindows 7など、各OSをDaaSとして提供する点がWVDの最大の特徴といい、Windows 10のマルチセッション機能が中核となる。マイクロソフトの佐藤氏は、「仮想マシンを集約し、コストの最適化を図れる」と利点を強調する。例えば、CAD環境を社内で構築する際はワークステーションなどの実機導入が必要ながらも、Azureの仮想マシンはAMD EPYCやNVIDIA Teslaなど最新スペックのプロセッサーを利用できる。「購入コストの抑制やワークスペースの集約にも役立つ」(佐藤氏)と、WVDの意義を説明する。

日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 Azureビジネス本部 製品マーケティング&テクノロジ部 プロダクトマネージャーの佐藤壮一氏
日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 Azureビジネス本部 製品マーケティング&テクノロジ部 プロダクトマネージャーの佐藤壮一氏

 MicrsoftによるFSLogixの買収で実現したOffice 365 ProPlusの最適化もさることながら、Microsoft Azureの同じリージョンで稼働するため、パフォーマンスが優れているとする。11月時点でAzureは世界に54リージョンを数えるが、佐藤氏は「1リージョン=1カ所のデータセンターではなく、(データセンターの集合体として)複数のゾーンを設けてネットワークを最適化している」とした。データセンターのロケーションの選定や電力事情、コンクリートなどの資材、海底ケーブルといった多岐にわたるデータセンターの専門家がAzureチームに在籍しているという。

 さらに、世界各国にリージョンを持つMicrosoft Azureの利点として、「VDIだけではもったいない。サーバーレスやブロックチェーン、コンテナーなどのソリューションを使いながら、(日本企業の)グローバル展開にも相乗効果を得て『攻めのVDI』を実現できる」(佐藤氏)と強調する。

 WVDは単独利用もできるが、Citrix Cloudと組み合わせた「Citrix Cloud with WVD」は、オートスケールをはじめとする多くの利点を備えると説明する。「例えば、週末やピーク時以外は(WVDを)シャットダウンしてコストの増加を抑制できるが、WVD単独ならPowerShellやREST APIを使ってユーザーが設定しないといけない。スクリプトを使うと運用ノウハウが属人的になってしまう」(小林氏)といい、Citrix Cloudで提供するGUIによる操作性は、企業環境での運用に欠かせないとする。

 またWVDの仮想デスクトップ環境の配信では、「PVS(Provisioning Services)」ではなく「MCS(Machine Creation Services)」を使用し、マスターイメージからベースとなるイメージ、そしてOSイメージを作成する。こういった繁雑な作業もCitrix Cloudによるライフサイクル管理で軽減できるという。端的には、WVD単独でも利用可能だが、Citrix Cloudと組み合わせることでIT部門の負担を大きく軽減できるという。

Citrix Cloudのデモンストレーション。650ユーザーがログインし、そのうち黄色の100ユーザーと赤色の50ユーザーの“体験”(UX)に問題が生じていることを示している。可視化したデータはドリルダウン可能で、UX低下要因がサインイン時のプロフィール肥大化が影響しているといった分析もできる
Citrix Cloudのデモンストレーション。650ユーザーがログインし、そのうち黄色の100ユーザーと赤色の50ユーザーの“体験”(UX)に問題が生じていることを示している。可視化したデータはドリルダウン可能で、UX低下要因がサインイン時のプロフィール肥大化が影響しているといった分析もできる

 小林氏によれば、シトリックスのある金融系の顧客企業は、同社の説明を受けて「自分たちで運用管理をする必要がなくなると語っていた」(同氏)そうだ。IT部門は業務利用するアプリケーションやデバイス管理に作業を集中でき、「IT部門のあり方をも変えていく」(小林氏)という。

 WVDに対する需要は、顧客企業の経営戦略やIT戦略が鍵を握っている。小林氏は、「競争優位を保ちたい企業もあれば、コストや柔軟性を優先する企業もある」と分析しつつ、多くの問い合わせが集まっている状況だとした。佐藤氏も「既存のVDI環境の移行先として利用したいという顧客は少なくない。世界中の拠点をまたいだ開発環境としての利用や、企業の買収・合併後の迅速な対応など、クラウドとVDIの恩恵に価値を感じる企業も少なくない。しばらくはオンプレミスからの移行が中心だが、今後は新しいVDI活用に需要が集まる」と予想している。

 なお、Microsoft Teamsに代表されるウェブコラボレーション需要を踏まえてシトリックスは、仮想化環境におけるMicrosoft Teamsの利用を可能にするソリューションを近日中に提供する予定だという。

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