FIDO、日本での最新動向を披露--LINEやドコモもパスワードレスへ

大場みのり (編集部)

2019-12-06 18:43

 FIDO(ファイド) Allianceは12月5日、日本における活動や概況を発表した。FIDO Allianceとは、パスワードレスを推進する国際的な非営利団体。2012年に設立され、現在約250社で構成されている。

FIDO Allianceに参加している企業の一部(出典:FIDO Alliance) FIDO Allianceに参加している企業の一部(出典:FIDO Alliance)
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 パスワード認証に代わるオンライン認証として、FIDO Allianceは「FIDO認証」の普及に取り組んでいる。FIDO認証では、カメラによる顔認証やセキュリティキー、指紋認証など、シンプルな動作で認証を行う。またサーバーと秘密情報を共有せず、プライバシー情報をサーバーに保存する必要がない。公開鍵による暗号方式を採用し、ユーザーの端末に格納する秘密鍵や生体認証テンプレートを端末から出さないことで、フィッシングや中間者攻撃などから保護するという。

 FIDO Alliance エグゼクティブディレクター 最高マーケティング責任者のAndrew Shikiar氏は「パスワードは消費者にとって課題であり、企業においても負担となっている。現在のコネクテッドな経済活動にはふさわしくない。この状況を改善する必要がある」とパスワードレスへの思いを語った。

FIDO AllianceのShikiar氏
FIDO AllianceのShikiar氏

 日本では、FIDO Japan WG(Working Group:作業部会)が中心となって普及に取り組んでいる。2016年12月の発足発表から2019年12月で3周年を迎え、メンバー企業は発足当初の10社から4倍以上の43社に拡大している。

(出典:FIDO Alliance) (出典:FIDO Alliance)
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 FIDO Alliance ボードメンバー/Executive Council 兼 FIDO Japan WG 座長/NTTドコモ プロダクト部 プロダクトイノベーション担当部長の森山光一氏は「FIDO認証を日本でも効果的に展開するため、FIDO Japan WGの設立に至った。国際的な団体なので言葉の壁や時差の問題もあるが、これらの課題を解消しながら日本におけるFIDO認証への理解を進めていく。さらにその成果を日本語で発信していく」と意気込みを語った。

FIDO Japan WG 座長などを務める森山氏
FIDO Japan WG 座長などを務める森山氏

 森山氏は、2019年におけるFIDO認証の導入事例を紹介。ゆうちょ銀行は2019年7月、「ゆうちょ認証アプリ」にFIDOに対応した端末を用いた認証技術「FIDO UAF(Universal Authentication Framework)」を搭載した。FIDO UAFの搭載により、ログインや送金時の認証が便利で安全になったという。LINE Payは2019年9月、「LINE Pay アプリ」に「FIDO2」を搭載。同技術は2018年にリリースされ、専用機器を必要としないのが特徴だ。FIDO2を搭載したモバイルペイメントアプリは世界初だとしている。

 今後は、NTTドコモが2020年2月に「dアカウントパスワードレス認証」を導入予定。これまでパスワードに関するメニューは、パスワードを変更するためだけのものだったが、「パスワードを無効化する」というメニューも追加される。

 加えて2019年11月、FIDO Alliance主催の「FIDO相互接続性テスト」が日本で初めて開催された。FIDO相互接続性テストは、FIDO認定プログラムを構成する重要な要素。「適合性テスト」を通過したサーバー・認証器を開発する企業のみが参加し、FIDO使用の機能要件と相互接続性を確認する。

 FIDO相互接続性テストには、日本を含む10の国と地域から14社が参加。FIDO Allianceのメンバー以外の企業も参加したという。結果として、12のサーバーと6の認証器がテストを通過した。国内では、Capyのサーバー、KDDIの認証器、ナレッジスイートのサーバーが新たにFIDO認定を受けたという(いずれもFIDO2)。

 FIDO Japan WGは最近、大学ICT推進協議会の認証連携部会とパスワード不要のシンプルで堅牢な認証システム構築に向けて議論をしている。オープンキャンパスへの申し込みや願書の提出、入学の手続き、学生生活など、さまざまな場面で学生は本人確認を求められる。そのため両者は、大学が提供するITサービスでのオンライン認証にFIDO認証の適用を検討しているという。

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