日立製作所(日立)は全国銀行協会(全銀協)が設立する「電子交換所」のシステム委託先業者に選定された。電子交換所では手形や小切手の交換業務を電子化することで、金融機関における交換業務を効率化するという。2022年の稼働を予定している。
金融機関は、企業や個人から持ち込まれた大量の手形や小切手を全国各地の手形交換所に持ち寄って交換し、決済を行う。2022年に設立される電子交換所では、従来現物の搬送により行われてきた金融機関間における手形や小切手の交換業務をイメージデータの送受信で完結。手形を持ち出す金融機関は、スキャナーなどで画像化したイメージデータを電子交換所に送信し、手形を持ち帰る金融機関は電子交換所からデータを取得する仕組みとなっている。
電子交換所の中核となる画像処理技術には、日立の帳票認識サービスを採用。同サービスはAI-OCR(人工知能を取り入れた光学文字認識)を用いて手形と小切手を画像処理し、イメージデータのやりとりだけで金融機関別の仕分けや金額集計、決済用データの算出といった一連の交換業務を可能にするという。
システムの導入により金融機関間の手形や小切手の現物搬送が不要となるので、運搬費など事務コストの削減や災害時の輸送トラブルといったリスクの軽減が期待される。一方、紙での手続きを希望する利用者への対応は維持するという。
システムの構築では、東京手形交換所の現行ベンダーである日本ユニシスが要件定義の工程や仕様の取り決めに関して協力する。
※クリックすると拡大画像が見られます