Dropbox Japanが1月24日に発表した“創造性とITツール”利用に関する実態調査結果によると、収益性や事業成長性、従業員の業務に対する満足度が高い企業に勤務する回答者の約8割は、社内外を含め異なる世代が仕事を通じ、垣根を越えて話し合うオープンコラボレーションを重視することが明らかになっている。その一方で、業務時間外でも仕事に追われるなど弊害も浮き彫りになっている。
Dropbox Japan 代表取締役社長 五十嵐光喜氏は「Dropbox Spacesのように(コラボレーションによる)変更点を見れば不要なチャットを減らせる。今回の調査結果を開発にフィードバックしたい」とITツールに支えられる業務環境の課題解決を明言した。
Dropbox Japan 代表取締役社長 五十嵐光喜氏
調査の目的は、企業や組織におけるチームでのコミュニケーションやコラボレーションとITツール利用について、 現状どうなっているのか、どういった課題感があるのか、理想としてはどうなってほしいか、実態を把握し、コラボレーションを通してイノベーションを起こしていくことに対する市場ニーズを明らかにすることと説明。2019年10月24~26日に22~69歳の国内企業のナレッジワーカー男女800人を対象にインターネット経由で調査した。
ITツールの利用効果に対する実感を尋ねたところ、「時間外、休暇中にも仕事のメールやチャットを確認・対応することが増えた」と回答した20代・30代(いずれも47.7%)が目立ち、同回答の50代を見ると最下位の29.6%まで低下するように、世代間ギャップの大きさが際立つ。
「仕事相手とのやり取り・コラボレーションがしやすくなった」(20代=56.8%)、「同時並行で多くの仕事に追われるようになり、新しいアイデアを考える時間がなくなった」(20代=36.4%)といった若者層とは逆に、「ひらめきが出やすくなった」と回答したトップは60代(21.7%)だった。
好調な企業に勤務する従業員の81.7%がオープンコラボレーションを重視していると回答。逆に重要ではないと回答した約37.1%は、収益性や成長性の低い不調な企業である。Dropbox Japanに限らず、社内外を巻き込んで仕事を進める場面は増加しているが、この調査からは企業成長の低迷や従業員の不満を裏付けているのではないだろうか。
他方で「ひらめきを得るために必要なこと」という質問に好調な企業は「実際に現場状況を把握できるシステムやツール」(平均41.4%)、「プライベートな時間を作るための休暇を取りやすい環境作り」(平均35.6%)と回答。アイデアや業務の進捗などを共有する「情報交換交換の場」は「自分のデスクでの雑談」(37.4%)「社内のコミュニケーションスペースや休憩室などでの雑談」(34%)「打ち合わせの際の雑談」(27.1%)が上位に並ぶ。