事例2 株式会社Coral Capital
Coral Capital(従業員数9人)は、未上場企業に対する投資、運用、投資先の経営支援などを行っている。
それぞれの投資先で進捗状況が異なる契約プロセスがあり、管理が煩雑化。チャットやメールベースでは共有に限界を感じていた。投資先企業をサポートする立場からも、メールベースでは各案件の投資フェーズがどこまで進んでいるかの把握が難しく、次の動きを予測しにくいというネックがあった。
契約マネジメントの視点で事業を捉え直し、「契約の型」をあらかじめ設計し、管理できる体制に移行。
具体的には、投資に必要な「書類回収」、対象を調査、分析する「デューディリジェンス(DD)」、「チェック」、「承認」、「投資契約締結」、「送金」という過程を顧客の契約ごとに一元管理できる体制を整備。何がまだできていないのかが明確になり、一連のプロセスを可視化できたことで業務効率を一気に改善することができた。
これまではプロジェクト管理が属人化していたが、プロセスを共有できるようになったため、アシスタントや顧問弁護士へ共有でき引き継ぎがスムーズに。フェーズごとに重要な事項を抜け漏れなく遂行できるようになり、投資実行までの時間も短縮された。
事例3 株式会社ネルケプランニング
ネルケプランニング(従業員数145人)は、舞台制作やキャスティング、イベント企画などを主な事業としている。
一つの舞台製作に際し、製作委員会組成から原作契約、キャストの出演契約、公演で使用する楽曲の著作権契約、それらを活用した舞台公演終了後の作品配信、番組販売手続き、商品化、ビデオグラム化、音楽配信、パッケージ化など…二次利用に関する契約に至るまで、多方面に契約が生じる。
キャストの出演契約だけを見ても契約数はざっと20~30件。これまではExcelの台帳を活用し管理してきたが、舞台公演数の増加によって進捗管理業務が煩雑化。さらに、一連の権利関連業務を「契約管理」「印税管理」「版権営業」「商品営業」の4部署で複数の人間が担当。リアルタイムでの進行状況把握のため、各部署担当者への確認が発生し、問題となっていた。
一つの舞台制作〜二次利用までを、契約マネジメントの視点で一つの大きな塊=「プロジェクト」と捉えて管理。契約書自体の管理はもちろんしていたが、一つひとつの契約書それぞれをプロジェクト単位で発生する各タスクに紐付けることで、制作の進捗と各タスクを誰が担当しているのか、何がまだできていないのかが一元管理可能になった。異なる進捗の各舞台作品について関係者に共有できるため、舞台プロジェクト単位の可視化が実現した。
まとめ
このように、契約を軸とした「契約の型」を作って事業を可視化することができれば、業務の脱・属人化や健全な内部統制を敷くことができるようになり、事業スピードは加速する。
これまでにも述べてきたが、企業は「ヒト・モノ・カネ」といった様々なリソースの集合で成り立っており、その裏には必ず契約が流れている。「ヒト・モノ・カネ」それ自体を管理するソリューションは様々あるものの、契約の管理については光が当たりにくかった。
しかしながら、これまで紹介してきたとおり、全ての事業は契約からスタートする。契約を軸に、契約書、契約関連書類、相互に関連する契約、契約締結の前後工程を含めた関連業務までを一元管理することにより、事業の仕組みが構築できる。企業の成長を確実なものにすることができるのだ。
- 酒井 貴徳
- Holmes CEO室 室長
- 日本、ニューヨーク州で現役弁護士を務める。2009年に東京大学法科大学院修了後、2010年に弁護士登録(第2東京弁護士会、63期)。2011年から、西村あさひ法律事務所でM&Aやスタートアップ支援を担当。その後、アメリカへ留学。2018年にバージニア大学ロースクールを卒業し、ニューヨークの法律事務所 Debevoise & Plimpton LLPに勤務。2019年、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後の2019年9月にHolmes入社。事業戦略の策定や組織構築、ファイナンスや提携など、事業を成長させるための業務に従事している。
- 須貝 崇史
- Holmes CEO室 兼 フィールドセールスグループ
- 中央大学法科大学院卒、2019年に司法試験に合格。Holmesでインターンを経験したのち、司法修習の道を選ばずにそのまま正社員として入社。 ベンチャー、スタートアップ企業のサービスを独自の視点で分析、考察するブログ「Startup Labo」を個人で運営。