日本のマネージャーが部下のテレワークに感じていること
では実際、日本のマネージャーたちはどのように感じているのでしょうか? 先日、部下のテレワークに対して、上司がどのように感じているのかを日本で調査(PDF)してみたところ、テレワークを導入している企業もそうでない企業でも、部下のテレワークに対してポジティブな感情を抱いているマネージャーの方が多いという結果が出ました。
また、テレワークを導入していない企業でも「会社の成長のためにはテレワークが必要である」と回答した人が半数以上(56.2%)いたのです。
もちろん、見方によっては半数近くがテレワークは必要ないと回答していると読めるかもしれませんが、テレワークの普及率が20%を切っている(先述の総務省資料より)日本の社会の中で、しかも、1人以上の部下を持つマネージャークラスを対象にした調査において、半数以上がテレワークに好意的なのです。この数字は非常にポジティブな結果だと思いませんか? 筆者はそう思います。
ただし、テレワークに対してポジティブな意見を持っているマネージャーたちも、部下のテレワークに対して全く不安を抱いていないというわけではありません。自社で行った調査ではありますが、筆者が個人的にこの調査の面白いと思った部分はここで、「部下のテレワークに対して不安に思うことはあるか」という設問では、テレワークを既に導入している企業もそうでない企業でも、いずれも7割近くの回答者が「不安に思うことがある」と回答しているのです。
「どういった部分で不安に思うのか」を紐解いたところ、テレワークを既に導入している企業は部下が行っている業務の「時間」や「量」の把握に不安を感じる人が多く、またテレワークを導入していない企業は、部下の「業務そのもの」の把握ができなくなるという不安を抱いている人が多かったそうです。
ですが、筆者が気になったのは心理的な部分で、4人に1人の上司が「部下がちゃんと仕事をするのか信用できないから」や「部下が業務上の情報を漏洩させないか心配だから」と回答していた部分でした。
ほとんどの仕事で日々の業務や納期はきちんと決まっているのに、部下がちゃんと仕事をするのかわからない、という不安をなぜ抱くのでしょうか。業務上の情報は、会社にいてもいなくてもメールやファイルの誤送信などで漏洩のリスクはあるのに、なぜ部下のテレワーク時に限ってそういった不安をいだくのでしょうか。
いずれも答えはとても単純で、信頼関係が築けていないからです。
以前に執筆した柔軟な働き方に関する記事でも触れたことですが、柔軟な働き方を推進するためには、上司から部下への「信頼」が最も重要なポイントとなってきます。従業員の勤務時間を監視することなく、従業員が仕事を遂行することに信頼を置いた場合、従業員のモチベーションが上がり、より仕事にコミットするのです。また、上司が部下を信用して柔軟な働き方を提示することで、部下側もマネージャーに信頼してもらえていると感じることができます。