「富士通マーケティングフォーラム 2020」が2月13日に都内で開催された。富士通マーケティングが富士通のグループ各社やパートナー企業と連携しながら、具体的なサービスを紹介する場として、2012年から毎年実施している。本記事では、約70種類に及ぶ展示の中から、特に目を引いた2つのサービスを紹介する。
人×デジタルで正確かつ効率的に
富士通は、アパレル業界などの採寸業務を支援するIoTデバイス「FUJITSU Business Application SNAPEC-FORCE IoTメジャー hakaruno(IoTメジャー hakaruno)」と、アプリケーション「FUJITSU Business Application SNAPEC-FORCE IoTメジャー hakaruno for Win(hakarunoアプリ)」を展示していた。
hakarunoアプリ(画面左)と採寸結果(画面右)。中央手前にあるのがIoTメジャー hakaruno。メジャーでは採寸している箇所までは認識しないため、作業従事者は採寸する項目と順番を事前に決めておき、その通りに測る必要がある
スマートフォンのカメラを使って身体を採寸する技術などは既にあるが、このサービスはミリ単位まで正確に測ることが可能だという。そのため、より正確性が求められるオーダーメイドの採寸や、EC(電子商取引)の商品データ作成時などに適している。
作業従事者は、IoTメジャー hakarunoで対象を採寸。メジャーに付いているボタンを押すと、採寸データがBluetooth経由でhakarunoアプリに送られる。そしてExcelやメモ帳などWindowsのアプリケーションに転送される仕組みだ。これにより、採寸の知識は従来通り必要なものの、記入ミスや負担の軽減が期待される。税別価格は、IoTメジャー hakarunoが1台当たり3万8000円、hakarunoアプリがメジャー1台当たり月額500円だ。
富士通の担当者は「データは蓄積されていくので、ビッグデータとして活用することも可能となる。例えばオーダーメイドサービスを提供するアパレルブランドの場合、顧客に多い体形が分かるので、既製品では各サイズをどれぐらい製造するべきかの参考にできる」と語っていた。
サイト分析の新たなカギ現る
ウェブ広告サービスを展開するヒトクセは、スマートフォンを操作する指の位置やスクロールの速度などから、サイトの閲覧者が注視しているキーワードや画像を推測するサービスを展示。この機能は、ヒトクセの技術「Gaze Analyzer」が実現しているという。
ヒトクセは、富士通グループとスタートアップ企業が組み、新たな価値創出を目指す「FUJITSU ACCELERATOR」の第6期に採択され、富士通総研と協業して商品化に至った。両社の役割は、ヒトクセがGaze Analyzerのシステム部分、富士通総研がデータを基にしたサイトの改善を担当している。
分析結果の表示イメージ(出典:ヒトクセ)
サイト運営者は従来、ページ移動やクリック箇所などを基にユーザーの導線やページ内で注目されている範囲を把握している。だがGaze Analyzerにより、キーワードや画像ごとの関心度が可視化され、サイトレイアウトの改善や関心層のみへの広告配信が可能になるという。この場合、価格の部分で止まったユーザーを関心層としている。顧客企業はヒトクセが作成した仮想URLから、ユーザーの何%が各キーワードや画像を注視していたかを一目で知ることができる。
このサイト分析サービスには、サイト全体におけるユーザーの関心を検知するものと、ランディングページ・バナーを改善するものがある。前者は分析サービス(約2カ月)が300万円から、広告配信オプション(約1.5カ月)が100万円から。後者は、レポートのみ(約1カ月)が150万円で、改善・広告運用・評価(約2カ月)も含めると、300万円からだという。