企業向けが成長をけん引、今後はクラウド/コンサルを強化--エフセキュア

渡邉利和

2020-02-19 14:07

 エフセキュアは2月18日、報道機関向けの事業説明会を開催した。国内のビジネス状況に加え、フィンランド本社から最高技術責任者(CTO)のJyki Tulokas(ユルキ・トゥロカス)氏が来日して最新の技術動向を説明した。

(左から)F-Secure アジアパシフィック地域 バイスプレジデントのKeith Martin氏、同 CTOのJyki Tulokas氏、エフセキュア 法人営業本部 シニアセールスマネージャーの河野真一郎氏
(左から)F-Secure アジアパシフィック地域 バイスプレジデントのKeith Martin氏、同 CTOのJyki Tulokas氏、エフセキュア 法人営業本部 シニアセールスマネージャーの河野真一郎氏

 アジアパシフィック地域 バイスプレジデントのKeith Martin(キース・マーティン)氏は2019年度の業績について説明した。2019年度の同社のグローバルでの売り上げは2億1730万ユーロ(前年比14%増)で、同社として初の2億ユーロ超えを達成したという。この成長をけん引しているのが法人向けで、前年比27%増を達成している。一方で消費者向けの売り上げはこの数年ずっと横ばいではあるが、ビジネス全体に占める比率は依然として半分近いボリュームであり、今後もこの分野への注力がなくなるわけではないとした。

 また、2019年の主なニュースとして同氏は、9月に発表された「F-Secure Consulting」の設立を挙げた。ベースとなったのは2018年に買収したMWR InfoSecurity。東京オリンピック開催やサプライチェーン攻撃の激化、IoT/スマートホームデバイスの普及、DX(デジタル変革)/クラウドサービスなど、同社から見た“市場の成長をけん引するドライバー”(裏返せば、国内企業が直面するセキュリティリスク)がさまざま見られることから、同社のビジネスも継続的な成長が期待されるとした。

 続いて、CTOのTulokas氏が最新の技術動向を説明。同社のセキュリティソリューションが効果的にサイバー攻撃を防御している実績を強調する一方で、それでも防御側が攻撃側に勝っているとは言えない理由について、「人間はミスをするため」と指摘した。そして、この問題に対する同社の取り組みとして「レピュテーションクラウドに継続的にインテリジェンスを追加」することで、「ビッグデータを使い、隠れている『洗煉された』攻撃者を探し出す」ことに着手していると紹介した。

 さらに同氏は、「サイバーセキュリティにおけるAI(人工知能)の未来」を探る試みとして、“Project Blackfin”についても紹介した。2019年11月末に発表された同プロジェクトは「群知能(Swarm Intelligence)」の考え方を応用し、分散した比較的小サイズのデバイス上のエージェントがインテリジェンスを収集、協調して侵入に対処することなどが構想されている。現時点では研究開発プロジェクトという位置付けであり、具体的な製品化につながるまでにはまだ時間を要するものと思われるが、今後の成果に期待したい。

 最後に、エフセキュア 法人営業本部 シニアセールスマネージャーの河野真一郎氏が、同社のクラウド環境への取り組み状況について説明した。同社はAmazon Web Services(AWS)のユーザー事例として取り上げられるレベルの先進的なクラウドユーザーであり、クラウド環境の活用に関しても豊富な経験を有することから、これをユーザーに提供する形での支援にも取り組んでいる。

 実際に同社のコンサルティングサービスを採用した事例として、国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」を運営するエウレカが紹介された。同社には「パブリッククラウド特有の脅威を把握」したいというニーズがあり、「セキュリティ診断に高いスキルセットを有する」「クラウド環境のウェブアプリケーションを適切に診断できる」といった理由からエフセキュアのコンサルティングを採用したとのことだ。

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