ネットスコープジャパンは3月3日、ゼロトラストモデルに基づくIaaSおよびオンプレミスのシステムへの閉域網接続が行える「Netskope Private Access」サービスの提供を開始した。併せて大阪データセンターを開設したことも明らかにした。
新サービスは、セキュアな同社のデータセンターを経由してパブリッククラウドのIaaS環境や、利用企業のオンプレミス環境で稼働するITシステムに安全にリモート接続ができる。参考利用価格は1リソース当たり年間1万2000円で、年間のサブスクリプション契約が必要。同社販売代理店を通じて購入できる。
一般的なリモートアクセスのイメージ
新サービスによるリモートアクセスのイメージ
また、新たに開設した大阪データセンターは、国内では東京データセンターに続く2番目の接続拠点となる。カントリーマネージャーの大黒甚一郎氏によれば、国内のエンドユーザー(同社サービスを利用する企業内の総ユーザー数)は2020年3月までに29万6430に達する見通しで、そのうち30%以上が関西圏の企業になる。
このため、西日本地域から利用するユーザーにおけるサービス品質の向上と、国内ユーザー企業に提供するサービスの冗長性を高めることを目的に、新たに大阪データセンターを開設した。既存ユーザーは追加費用なしで大阪データセンターも利用でき、運営はNTTグループが支援するという。
大阪データセンターの概要
同社では、SaaSアプリケーションへ安全に接続するサービスとして「Netskope CASB(Cloud Access Security Broker)」、ウェブサイトへの安全な接続を行う「Netskope NG SWG(Next Generation Secure Web Gateway)」を提供する。これらは、従来のインターネットと社内ネットワークの境界(ゲートウェイ)を基準にセキュリティ対策を講じるのではなく、アクセスするユーザーの認証やサービス内での振る舞い監視などによってセキュリティ対策を講じる「ゼロトラスト」モデルに基づくサービスとなる。
大黒氏は、Netskope Private Accessを含むこれらのサービスについて、同社が推進する「Secure Access Service Edge(SASE)」構想によるものだと説明した。SASEは米Gartnerが提唱した呼称だが、将来的に企業のITリソースはクラウドがメインでオンプレミスは小さくなる「ヘビークラウド、シンブランチ」という予想を踏まえ、SD-WANやCASB、SGWなどクラウドベースのセキュリティ機能を中核に、安全な通信と安定かつ低遅延の通信が両立するサービスを実現させていくという。
米国からオンラインで記者会見に参加したNetskope アーキテクチャーおよびサービス担当シニアバイスプレジデントのJason Hofmann氏は、同社サービスの仕組みを「New Edge」と表現、サービス基盤のデータセンターを2019年は15カ所、2020年は4月までに19カ所を開設すると表明した。1カ国に複数のデータセンターを確保しているのは米国やカナダなど少数といい、今回の日本を含めインドなどユーザーが急増する市場でデータセンターを増強していく計画を明らかにした。
シニア・セールス・エンジニアの小林宏光氏は、従来のリモートアクセスでは、VPN装置の設置や運用、更新とクライアントソフトの導入展開や運用管理が非常に手間であること、また、セキュリティ対策が煩雑で使い勝手も低いなどの課題があると指摘した。ゼロトラストモデルのネットワークサービスに切り替えることでこうした課題を解決できるとし、クラウドアプリケーションがメインになるこれからのIT利用では必須になると説明した。
新サービスでは今後、情報漏えいを抑止する「データロスプリベンション(DLP)」などデータセキュリティの機能を拡張していくとしている。