十勝農業協同組合連合会(十勝農協連)と富士通は、2020年4月から病害虫診断システムの構築に着手し、2021年度から運用を開始する。構築期間は4月1日から11月6日まで。
同システムは、生産者がスマートフォンで撮影した甜菜(てんさい)の写真をもとにAI(人工知能)が病害虫を特定し、十勝農協連が病害虫および農薬の散布方法などの情報を生産者に提示するもの。病害虫を判別するAI学習モデルは、収集した病害虫の画像データをもとに富士通が開発した。2019年に両者が実施した実証実験では、病害虫を特定するAI学習モデルの平均適合率90%以上を達成した。

システムイメージ(出典:富士通)
十勝農協連は、畑などで特定対象の病害虫である褐斑病やヨトウムシ、類似した病害虫である斑点細菌病やシロモンヤガ、シロシタヨトウなどの病害虫の写真を撮影し、画像データを収集する。同システムを活用し、病害虫の発生場所や日時を十勝全域で把握することで、効果的な農薬散布を行うとともに、生産者に営農指導を行う。これにより、生産者のコスト削減、作業負荷軽減、競争力強化を支援する。
北海道十勝地域は一経営体当たりの経営耕地面積が約41.6ヘクタールと、全国平均の約23倍の規模を誇る一方で、農業従事者の減少や高齢化問題がより深刻な状況となっている。その対策として、十勝農協連は富士通と連携し、農林水産業みらい基金の助成を受けて今回のシステム構築を進めることとなった。