調査

2020年の国内パブリッククラウド市場は1兆円規模に--基幹系での利用拡大

ZDNET Japan Staff

2020-03-18 17:13

 IDC Japanは3月18日、パブリッククラウドサービス市場の国内予測を発表した。2019年の市場規模は前年比22.9%増の8778億円だった。2019~2024年の年平均成長率(CAGR)は18.7%で推移し、2020年の市場規模は1兆円の大台を超え、2024年には2019年と比べて2.4倍の2兆644億円になるという。

 2019年は、オンプレミスなど従来型ITからクラウドへの移行が進むとともに、カスタマーエンゲージメントの強化を実現するモバイル/ウェブアプリケーションなどの新しいデジタルサービスのインフラとして、IaaS/PaaSが高く成長した。情報系SaaSは安定成長期に入ったものの、産業特化型SaaSが数多く登場しており、SaaS市場は順調に成長しているという。

 今後の国内パブリッククラウドサービスは、市場規模が拡大したことによって、前年比成長率が低下していくと見込む。一方、パブリッククラウドサービスを利用するシステム領域(ワークロード)は、従来型ITからの移行では「情報系システム」から「基幹系システム」へ、さらには新しいワークロードとなる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」へと、多様化/拡大が継続する。このワークロードの多様化/拡大は、企業が採用するパブリッククラウドサービスのベンダー/サービス数を増加させることになる。

 国内市場では、既に複数のクラウドを利用するマルチクラウド化が一般化している。しかし、マルチクラウド環境を統合的に管理している企業は非常に少ない状況にあるという。現在、多くの企業はITのサイロ化がもたらす「ガバナンス/セキュリティ」「コスト削減」「データ活用」などの課題を認識しており、マルチクラウド環境へ対応することがベンダーの選定要件となりつつある。

 IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターの松本聡氏は、「ベンダーは、マルチクラウド環境への対応において『リソースの統合管理』と『データ活用を促進するプロセス/データ連携』とういう2つの目的を理解し、その上で差別化戦略を実行することが重要である」と分析している。

国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2019~2024年(出典:IDC Japan)
国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2019~2024年(出典:IDC Japan)

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