富士通研究所と同社米国法人(FLA)は、アクセンチュアの英国法人と共同で、The Linux Foundationが運営するオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティー「Hyperledger Project」に対し、異なるブロックチェーン間の安全かつ確実な連携動作を実現するOSSの開発について提案し、新プロジェクト「Hyperledger Cactus(カクタス)」として正式に承認されたと発表した。
同プロジェクトにおいて富士通研究所とFLAは、富士通研究所独自のセキュリティ技術「コネクションチェーン」を活用し、アクセンチュアと共同で複数の異なるブロックチェーンが連携する統合型サービスの開発を容易にするOSS基盤ソフトの開発を進める。
コネクションチェーンは、実装方式や運営目的が異なるブロックチェーン間を安全に相互接続するセキュリティ技術だという。2017年11月に開発され、異なるプライベートコインの両替機能をOSSとして無償公開している。
富士通研究所とFLAは、コネクションチェーンとアクセンチュアのブロックチェーン間統合技術「Blockchain Integration Framework」を融合させ、ブロックチェーンを相互接続する基盤を共同で開発する。この基盤では、異なるブロックチェーン間での取引が確定するタイミングなどの差分を吸収し、必要な資産移転を行ったり、移転が失敗した場合のリカバリー処理を実行したりできるようにする。
2つのブロックチェーンを連動させた統合的なサービス例(出典:富士通研究所、FLA)
例えば、カーシェアリングサービスにおいてHyperledger Cactusの基盤を活用することで、車の利用権を管理するブロックチェーンと、プライベートコインを管理するブロックチェーンを連携させながら、一時的に車を使いたいユーザーがプライベートコインの譲渡と引き換えに車の一時的な利用権を得るサービスを創出できるという。
従来のブロックチェーンでは、異なるブロックチェーンを連動させることや、一度送金したコインから余剰分を取り戻すことが不可能だった。しかしHyperledger Cactusのフレームワークは、接続された異なるブロックチェーンを自動で遠隔操作し、その操作結果を監視できるため、複数のブロックチェーンを組み合わせた統合型サービスを短期間で開発することが可能となる。
開発した技術はOSSとして広く公開し、従来できなかった異なるブロックチェーンを経由する取引を安全かつ公平に行えるシステムを目指す。またソフトウェア開発者向けに、複数のブロックチェーンを統合したサービスの提供を容易にするSDK(Software Development Kit)もOSSとして提供することを予定している。