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1日あたり20TB--中国の新型コロナ対策で活用されたデータ分析の実際 - (page 3)

阿久津良和

2020-05-29 06:45

 この点を踏まえて、ビジネスコンサルティング事業部マネージャー ビジネスコンサルタント 小野尚人氏は新型コロナウイルスに感染した「罹患者の把握が重要。一般生活者の行動履歴をマッチングしても意味がない」と指摘する。中国が運用したシステムは感染者の行動履歴を補足し、行動エリアや時刻とマッチングすることで、一般生活者の感染が疑わしいリスクを分析してスコアリングしてきた。

 日本政府の新型コロナウイルス感染症対策テックチームは、AppleとGoogleの「Exposure Notification Framework」を利用した「接触確認アプリ」の仕様書を5月26日に公開した。提供は6月を予定しているが、同アプリケーションはスマートフォンのBluetoothを利用し、互いのスマートフォンが約1m以内の距離で15分以上の接近が続いた場合、濃厚接触と判断する。

日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部マネージャー ビジネスコンサルタント 小野尚人氏
日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部マネージャー ビジネスコンサルタント 小野尚人氏

 また、感染者を判断する識別子はサーバーに格納するものの、周期的な変更が加わるため個人やデバイスはもちろん、時間や場所といった情報を得ることはできない。これらの仕様を踏まえて小野氏は「接客業(など不特定多数と)の接触場面には活用しにくい」と指摘する。

 日本の新型コロナウイルス対策を踏まえて、日本テラデータは(1)接触確認データをもとにしたクラスター把握、(2)企業単位での疫学コントロールとリスク計測、(3)画像解析による罹患の簡易・迅速判定、(4)リアル店舗のデジタルチャネル化、(5)パンデミック下での不正請求の未然防止――の5つを提言した。

 (1)のクラスター把握は、感染者の情報をHER-SYS(新型コロナウイルス患者等情報把握・管理支援システム)への登録時に日時とスマートフォンの位置情報を連携させるというもの。HER-SYSは個人を特定する情報を収集しないため、プライバシーを担保した上で「クラスターの原因を分析可能だと考えている」(小野氏)と同社は推察する。

 (2)の疫学コントロール&リスク測定は、企業が全従業員の健康状態を把握する潮流を踏まえ、一定期間後に自動削除することを確約して行動履歴などデータを集約し、分析することで、「事業所単位など従業員の感染リスクを把握し、自宅待機など対応が可能になる」(小野氏)という。

 (3)の画像解析は、PCR検査の代替案としてレントゲンデータを活用する。胸部X線画像データからは肺炎の初期状態を検出できることから、感染者の判断に活用できるとの提案だ。新型コロナウイルス患者のデータを教師あり学習で分析し、疑わしい患者を選別してCTスキャンやPCR検査にかければ、より短期間で多くの検査が可能になるだろう。

 (4)のデジタルチャネル化はアフターコロナ時代の集客率を高めるため、設置済み監視カメラのデータをマーケティングに活用するというもの。日本テラデータは、オンライン(ネット)とオフライン(店舗)を融合させるマーケティング概念のOMO(Online-Merges-Offline)から顧客インサイトの分析が可能になるという。

 (5)の不正請求防止は、新型コロナウイルスの世界的大流行という混乱に乗じて悪意のある不正請求が増加することを踏まえ、保険金請求データや人物情報、過去のインシデントデータをネットワーク分析。「自動車保険であれば所有者が変わる車両、生命保険なら企業ぐるみで不正する医療法人の特定を実現」(小野氏)できると多様なアナリティクス活用方法を提言した。

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