南都銀行(奈良市)は、富士通のデジタル化ソリューションを活用して営業店を次世代型に変革していく。6月から住所変更などの諸届業務を紙からデジタル運用に切り替え、2020年度内に全店舗でタブレットを展開し顧客窓口での活用を開始する。富士通が発表した。
同行が導入したのは、富士通の「デジタルチャネルサービス Finplex Digital Branch」の各ソリューション。業務改革ソリューションの「Finplex Quick Counter for Banking」「Finplex サービス統合基盤 FrontSHIP」や、行内API基盤「Finplex BranchAPIs」「Finplex スマート営業APIサービス群 neXessary」を利用して、デジタル化した「クイックカウンター」と「受付ナビゲーション」を実現している。
次世代型営業店のイメージ
「クイックカウンター」では、富士通の「Quick Counter」を活用する。入出金や振り込みなど、これまで紙で受け付けていたハイカウンター業務を、ATMと窓口カウンターが一体となったセミセルフ型事務処理方式の窓口「クイックカウンター」にすることで、顧客が行員と一緒にATMで処理することができる。
2019年4月から展開し26店で稼働する。顧客は入金伝票や振込依頼書などの記入が不要になり、行員は現金に触らないキャッシュレス(キャッシュハンドリングレス)が可能になる。伝票は約4割削減され、利便性を向上させるとともに、行員の事務負担は大幅に軽減されており、2020年度内に40店で追加展開する予定だ。
「受付ナビゲーション」は、富士通のFrontSHIP、BranchAPIs、neXessaryを活用し、営業店システムのインターフェースをAPI化し、金融専用端末だけでなく、店頭タブレットアプリや他システムから勘定取引・更新・照会などを可能にする。これにより、口座開設や住所変更など、ローカウンターでこれまで紙で受け付けていた手続きを店頭のタブレットで実施できる、顧客は伝票記入などが不要になるなど、受付時間が最大3割削減されるという。店頭および後方事務のペーパーレス、オペレーションレスも実現できるとする。
6月から住所変更などの諸届業務に拡大しており、2020年度内に全店でタブレットを導入予定だ。営業店システムに必要な「電子伝票作成」「本人確認」「電子サイン(真正性の確保)」の機能を導入することにより、営業店から集中センターまでのフローをデジタル化し、処理時間の削減を実現する。
同行では今後、スキャナーを活用することで、営業店の後方事務を別拠点の集中センターへ集約するなど、事務ルール・体制の見直しを図りながら、後方のSBT端末を削減していく。営業店SBTの廃止により、営業店の事務スペースが従来に比べて7割から3割に削減される見込みで、余剰スペースは地域貢献や異業種連携での活用に検討していく。将来的には、全ての事務のデジタル化に向けて次期認証基盤や法人伝票を含めたデジタル化への検討を進め、「どこでも・だれでも」取引可能な非対面チャネルの強化や、人工知能など最新技術を活用した営業活動の高度化(コンサルティング営業の確立)を図っていく。