パロアルトネットワークスは6月12日、国内企業の意思決定者を対象にしたテレワークに関する調査「テレワークジャパンサーベイ2020年版」の結果を発表した。テレワークの課題ではIT環境に起因するものが目立つという。
それによると、回答者の89.9%は新型コロナウイルス感染症の対策として在宅勤務を実施し、このうち94.6%が在宅勤務時に問題や課題が発生していると答えた。
課題の上位は、「通信が遅くなったり重くなったりすることがある」が56.7%、「社内コミュニケーションの質が下がる」が50.6%、「在宅勤務でできる業務が限られる」が42.1%、「業務の生産性が落ちる」が39.4%、「社内ネットワークへの接続に制限がある」が36.2%、「顧客・取引先への対応の質が下がる」が35.9%――などだった。
最も多い通信の課題は、特に在宅勤務比率が高い企業ほど回答率が高いといい、VPN接続の増加やデータセンター経由のクラウド接続などの増加でネットワーク帯域がひっ迫し、業務の生産性に悪影響を与えていることが想定されるとする。社内ネットワーク接続の制限も、接続数の制限などのネットワーク基盤を起因とした課題だとしている。
在宅勤務を含むテレワークの阻害要因では、「テレワークを実施するためのアクセス環境が十分整備されていない」(40.1%)、「業務がオンライン化(ペーパレス化)されていない」(36.8%)、「テレワークができる社内システムが十分整備されていない」(33.1%)、「ノートPCなどハードが十分整備されていない」(25.4%)、「テレワークできるセキュリティ対策が十分整備されていない」(23.5%)の上位5つ全てがIT環境の不備だった。
在宅勤務を含めたテレワークを阻害する要因(n=456)、出典:パロアルトネットワークス
テレワークでのセキュリティに関する懸念には、「自分が扱う業務データの情報漏えい」(46.1%)や「在宅時のインターネット環境のセキュリティ」(43.0%)、「業務端末のウイルス感染」(37.3%)などが挙げられた。
なお、こうした阻害要因が解決すれば「社員の60%以上がテレワーク可能」と考える回答者は51.9%に上るものの、新型コロナウイルスの終息後も実施するだろうとの見方は12.7%にとどまった。
新型コロナウイルス感染症対応でのテレワーク比率、阻害要因解決時のテレワーク比率、新型コロナウイルス終息後のテレワーク比率予測、出典:パロアルトネットワークス
同社は「テレワークを一時的な例外措置として捉え、永続的な実施については悲観的な結果。個人としては実施可能な勤務形態と考える向きもあるが、アナログな業務プロセスやITインフラの未整備、今回経験した通信の遅延などの課題から、全社的なテレワークの実施は現実的ではないと評価されている」とコメントしている。
調査は4月27~30日、年商500億円以上/従業員数500人以上の民間企業で決定権あるいは決裁権を有する課長職以上の正社員を対象に行い、456人から回答を得た。