デルとEMCジャパンは6月30日、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品「Dell EMC VxRail」に高耐久モデル(Dシリーズ)とAMD EPYCプロセッサー搭載モデル(Eシリーズ)を追加すると発表した。また、新しいオプションとして「インテルOptaneパーシステント・メモリー」や「NVIDIA Quadro RTX GPU」のサポートも発表された。
「VxRail D シリーズ」は動作可能な環境範囲を拡大した高耐久モデル。温度範囲は-15~45度までで、8時間以内であれば55度まで許容する。耐衝撃性能は耐久重力で40G、最大標高1万5000フィート(約4500m)での運用に対応する。1U厚だが奥行きは20インチ(50cm)とコンパクトな筐体を採用する点もエッジでの運用を意図したものだという。
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また、以前から提供されていた1U筐体のVxRail Eシリーズで、新たにAMD EPYCプロセッサー(第2世代、コード名「Rome」)搭載モデルの「VxRail E665」が追加された。シングルソケットで、プロセッサーオプションによって8~64コアまでの構成が可能。省スペースだが高いコンピューティング性能を必要とする用途に向くとされる。
デル 執行役員 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 本部長の上原宏氏は「新しい音楽には新しい踊りが必要だ」というネイティブアメリカンの言葉を紹介。ITシステムに求められる要件が変化しつつある中、HCIを「戦略的製品」として注力していくという方針を明確にした。さらに、VxRailを「VMwareと共同で設計した唯一のHCIシステム」だといい、VMwareのソフトウェアと同社のハードウェア/ソフトウェアが密接に統合されている点を強みとした。
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EMCジャパン MDC事業本部 クラウドソリューション部 シニアマネージャーの市川基夫氏は、まず4月28日にリリースされた「VxRail 7.0.000」について説明した。VxRail 7.0は、4月3日にリリースされた「VMware vSphere 7.0」に対応するもの。従来はVxRailとvSphereのバージョン表記が異なっていたのを今回から完全に一致させるようにしたという。
また同氏は、従来のVxRailのポリシーではvSphereの初期リリースには対応せず、アップデートがリリースされたタイミングで採用していたことを明かした上で、「vSphere 7に関してはコンテナー対応などの注目度の高い新機能が多く含まれていることもあって、vSphere 7をいち早く使いたいというユーザーの声に対応した」という。
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これは、VMwareとロードマップを共有するなどの密接な連携の成果でもあるという。同時に、バージョンアップなどに慎重を期したいユーザーも少なくないことから、「VxRail 4.7.510」からノードのダウングレードにも対応するようになった。また、「VCF(VMware Cloud Foundation)on VxRail」のアーキテクチャーとして、従来の最小構成7ノードの「VCF標準アーキテクチャー」に加えて新たに「VCF統合アーキテクチャー」がサポートされ、最小4ノードからのスモールスタートが可能になった。ただし、現時点では標準アーキテクチャーと統合アーキテクチャーの行き来はできないため、どちらを選ぶかは慎重に選択する必要がある。
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なお、VxRailの販売強化を目的とした社内体制の強化も行われており、「社内組織横断的にバーチャルチーム『VxRail Super Stars』を編成した」(上原氏)という。元々VxRailはVMwere、Cisco Systems、EMCの3社のバーチャルカンパニーであるVCEに起源を持ち、DellとEMCの合併後もEMCの製品として扱われてきたが、今回のバーチャルチームでは両社の人材が集まっているなど、両社の統合に向けた動きが進んでいることもうかがわせる取り組みとなっているようだ。この体制により、「HCI市場国内シェア1位の獲得と維持を目指す」(上原氏)という。