Cisco Systemsは、アジア太平洋地域の企業を対象とした調査「2020 Asia Pacific SMB Digital Maturity Study(中小企業デジタル成熟度調査)」の結果を発表した。中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されることで、域内のGDP(国内総生産)が2024年までに10兆6000億ドルから14兆6000億ドルに拡大すると予測している。
調査はCiscoがIDCに委託して14の国・地域の1400社を対象に行った。デジタル成熟度の高い中小企業の収益や生産性は、そうでない企業に比べて2倍高く、約7割は新型コロナウイルス感染症でビジネスのデジタル化を加速していると答え、86%はデジタル化がコロナ禍の危機から回復する上で有益だとする傾向が明らかになった。
回答企業が優先的に投資する技術には、クラウド(15%)、セキュリティ(12%)、ITインフラストラクチャーソフトウェア(12%)が挙げられた。一方、デジタル化の課題にはデジタルスキル不足や人材獲得(17%)、テクノロジーの不足(14%)などが挙がった。
デジタル化の成熟度(4段階)では、成熟が進んだステージ3および4に該当する企業が2019年の11%から今回は16%に拡大した一方、ステージ2は5割強、ステージ1は3割強だった。
また、日本の評価はステージ2にあるとし、地域内のデジタル成熟度ランキングは2位とされた。中小企業のデジタル化が進めば日本のGDPは2024年までに44兆6260億円から52兆2580億円に拡大すると予測されている。
なお、日本の中小企業におけるデジタル化課題には、経営層の取り組み/予算不足(23%)や必要な技術の不足(14%)、デジタルスキルや人材の不足(11%)が挙がった。投資技術ではITソフトウェアの購入やアップグレード(17%)、セキュリティ(15%)、クラウド(13%)だった。
デジタル化の優先事項には、市場での成長や拡大(28%)、業務やサービス提供の改善(17%)、営業やマーケティングの改善(13%)が挙げられ。37%はDXで新製品やサービスを導入し競合他社と差別化を図って成長したいと考える一方、50%は競合他社に遅れを取りたくないと認識していた。顧客から求めによってDXを進める企業はわずか5%だったとしている。