英Armは現地時間8月20日、米国防高等研究計画局(DARPA)とのパートナーシップ契約を締結し、Armのテクノロジーへの研究目的でのアクセスを可能にすると発表した。
このパートナーシップ契約は、組み込みセンサーシステムからハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)システムに至るまで、バーティカル市場に向けたコンピュートに関するArmのIPやチップなど、商用利用可能なすべてのArmテクノロジーにアクセスするためのフレームワークの構築を念頭に置いている。
Armによると、3年のパートナーシップ契約により、DARPAの研究者に「チップの設計者やソフトウェア開発者のオープンかつ世界最大のコンピュートエコシステムへのポータルを提供することで、SoC開発のコストとともにリスクプロファイルを最小化できるようにする」という。
今回のパートナーシップ契約は、DARPAのエレクトロニクス再興イニシアチブ(ERI:Electronic Resurgence Initiative)に基づくものだ。
ERIは、従来のトランジスターのスケーリングを変革するとともに、マイクロエレクトロニクス分野を再編することで次世代チップの開発と製造にかかるコストを削減するという目的で2017年に立ち上げられた。DARPAはERIによって特に、集積回路のベンダーとともに、教育分野や民生分野、軍事分野の研究者らをまとめ上げることでこの分野にイノベーションをもたらそうと考えている。
DARPAはERIの立ち上げに際して、マイクロエレクトロニクスの次なる変革の波によって「設計コストの高騰という問題を克服し、システムの迅速なアップグレードを実現し、セキュリティの統合を設計の第一義とする、新たなアーキテクチャーと設計ツールが求められるようになる」と述べていた。つまり、ERIの貢献が鍵になる。
今回のパートナーシップ契約によって、ERIには、マイクロエレクトロニクス関連の技術開発におけるArmチップとそのIPの適用範囲の拡大とともに、Armの専門家に対するアクセスというメリットがもたらされるだろう。
ArmのIPプロダクトグループのプレジデントRene Haas氏は、「DARPAの多岐に渡る研究活動は、未来の技術革新に向けたさまざまな可能性を開くものだ」と述べるとともに、「DARPAとのパートナーシップの拡大により、ツール、サービス、ソフトウェアを網羅する世界最大のエコシステムによってサポートされるコンピュートソリューションの開発に向け、広範なArmテクノロジーへのアクセスが約束される」と続けた。
防衛分野の研究機関としてDARPAは、並行して数多くのプロジェクトに取り組んでいる。7月には、アクティブフローコントロールを通じて航空機の空力性能を向上させることに注力するイニシアチブである「Control of Revolutionary Aircraft with Novel Effectors」(CRANE)プログラムに参加する組織を選定した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。