選挙運動期間中のJoe Biden氏やDonald Trump氏を目の前に転送し、疑問に感じていることをぶつけられるようになったらと想像してほしい。そういったことを実現するデバイスが存在するのだ。
このデバイスの開発元である「PORTL」は世界最先端のホログラムのような技術を使用していると主張している。発明家のDavid Nussbaum氏は、アリーナで使用される大型のホログラム的な映像表現や、ロナルド・レーガン大統領ライブラリーの映像コンテンツを手がけた後、PORTLというデバイスを開発した。
PORTLは自動販売機ほどの大きさのマシンであり、遠隔地の被写体を4K解像度かつリアルタイムでホログラムのような映像として実物大を保ったままデバイス内に投影できる。
また、PORTLに接続するアプリを用いてライブコンテンツを撮影することもできる。さらにPORTLに投影されている人は、タイムラグ無しにデバイスの前にいる人たちを見ながらその声を聴き、対話することもできる。
このデバイスは、わずか7フィート×5フィート×2フィート(約2.13m×約1.52m×約0.61m)というコンパクトなものとなっており、高価な設置費用を必要とせずに、小さな空間に等身大の映像を投影するという目標を達成している。また、世界中のどこにいる人でもデバイス内に「転送」したり、人間やアニメーションが録画された映像を再生できる。
提供:PORTL
同社は8月、ユーザーに語り返せる動画を実現するとともに、デジタルコンテンツに対して人工知能(AI)技術と自然な対話機能を付加することを目的として、カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くインタラクティブ動画プラットフォーム企業StoryFileと提携したと発表した。
StoryFileのAIを用いれば、質問に答えたり、誰かがPORTLに近づいて動作させた場合に応答するようなコンテンツを作り出すこともできる。
StoryFileとPORTLの提携によって、StoryFileによるコンテンツが明るい光の中でもリアルな陰影のついたかたちでPORTLのデバイス内に表示されることになる。
あらかじめ一連の質問に対する回答を録画しておけば、セレブや著名人とファンが対話するといったことも可能になる。録画しておいた回答を活用することで、セレブや有名人との疑似ライブチャットが可能になるというわけだ。
このデバイスの可能性は多岐に渡っている。美術館や有名人の記念館は両社の提携による恩恵を受けられるだろう。
来訪者はPORTL用に録画された回答を通じて歴史上の偉人と対話し、質問を投げかけられるようになる。本人の言葉で物語が共有/保存されることで、その物語に命が吹き込まれるのだ。
実際のところ、製品第1号は既にアイルランドのMedtronicに販売されている。同社はこのデバイスを、米国キャンパスの1つに対する教育に用いる予定だとしている。なおPORTLは、トレードショーや空港、ショッピングモールといった、近くに人がいる場所であればどこでも活用できる。
遠隔地側(転送する側)に特殊な機材は必要なく、白い背景が必要となるだけだ。