アイデンティティ管理のOkta、日本市場に参入--kintoneとも連携

阿久津良和

2020-09-03 07:15

 Identity as a Service(IDaaS)として、シングルサインオン(SSO)や多要素認証、ID管理をクラウドで利用できる「Okta Identity Cloud」を提供するOktaが日本市場に進出する。同社は2009年に設立。現在8950社以上の企業がユーザーという。

 9月2日に開かれた記者会見の中で米本社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のTodd McKinnon(トッド・マッキンノン)氏は、競合に対する強みとして「ポイントは3つ。最初に(Oktaを)クラウドサービスとして立ち上げた。2つめは“(6500以上のソリューションとOktaを統合する)Okta Integration Network(OIN)”。3つめは顧客の成功に注力してきた。他社はプロトコルなど技術面を重視しているように見える」と説明した。

Okta 共同創業者兼CEO  Todd McKinnon氏
Okta 共同創業者兼CEO Todd McKinnon氏
Okta Japan 代表取締役社長 渡邉崇氏
Okta Japan 代表取締役社長 渡邉崇氏

 例年Oktaはビジネスレポート「Business@Work」を発表しているが、コロナ禍である2020年は「Businesses@Work(From Home)2020」として発表した。Oktaと統合した各サービス利用数を2月と3月で比較すると、「Zoom」(110%)、「Palo Alto Networks Global Protect」(94%)、「Cisco AnyConnect」(86%)が上位に並び、オンライン会議やセキュリティ、VPNの需要が大きく高まったことが分かる。

 また、コロナ禍でのフィッシング攻撃は2月末以降に667%まで増加し、安全にアプリケーションやサービスを利用するためのIDaaSに対する需要は高まった。そうした状況を踏まえて、日本法人Okta Japan 代表取締役社長 渡邉崇氏は「皆さん在宅勤務の整備に注力しているが、第2段階として生産性向上や幅広い要求への対応が求められる」と、在宅勤務を前提としたサービスの活用をうながした。

 NTTデータ、マクニカネットワークス、日立ソリューションズを販売パートナーとして日本上陸を果たしたOktaだが、日本市場について“日本の保守性”に着目している。渡邉氏は「ネガティブに聞こえるが、始まるまでは慎重に。一度流れができると一気に市場へコミットする」と評価しているという。

 渡邉氏はITRの調査を引用しつつ、「2023年には約320億円規模に達するアイデンティティ管理(Identity Management:IDM)やアイデンティティ/アクセス管理(Identity & Access Management:IAM)、IDaaS、SSO、フェデレーション、特権ID管理のうち、Oktaがカバーできるのは前者4つ」をビジネス対象にすると説明する。

 さらにクラウド移行に遅れを取っている従業員規模が1000~1万と1万人以上の企業、レガシーなシステムを保有していない、従業員規模100~1000人と1000~1万人の企業と2つのグループに対して異なるアプローチを用意し、自社ソリューションの展開を目指す。

 同社の強みはOINにある。6500以上のアプリケーションやサービスとOktaと統合し、「さらに130以上のクラウドやオンプレのサービスに対するプロビジョニングも実現」(渡邉氏)することで、運用側の負担を軽減できるという。

 だが、iDaaSの認証プロトコルはSAMLやOpenID Connect、WS-Federationなど多岐にわたり、国内ソリューションはグローバルとは異なる実装を行うケースも散見される。今回Okta Japanはサイボウズのグループウェアである「サイボウズOffice」や「サイボウズガルーン」、PaaS「kintone」に対して実装。今後「国内パートナーとの連携を増やす」(渡邉氏)ことで、OINの拡充を図ることをつまびらかにした。

 「Adobe Marketing Cloud」「Adobe Document Cloud」はOktaでID管理し、FedExは36時間で「Workday」「Webex」「Microsoft 365」など業務に利用するサービスをOkta経由のSSOに移行。国内事例としては、12万人を超える従業員を抱えるNTTデータがOktaを導入することで、月間400件のヘルプデスクチケットを削減している。

 プラットフォームに依存せずにパスワードレスログインを実現する「Okta FastPass」、認証プロセスなどをコードレスで開発する「Okta Workflows」の提供を開始するOktaは、「社会貢献活動を担う『Okta For Good』の活動は日本でも行う」(McKinnon氏)ことを表明し、米国時間7月2日に発表した追加費用なしで99.99%のアップタイムの提供は日本も適用範囲内であることを示した。

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